「最初はお腹の下がぼやっと痛い感じ。だんだんと『お腹が痛い』から『睾丸が痛い』に変わっていったんです」

【映像】安田大サーカス団長も経験…「精巣捻転」発生の流れ(画像あり)

 2009年、お笑いトリオ・安田大サーカスの団長安田さんを襲った「精巣捻転」という病気。団長安田さんは、当時の状況について「最初は我慢できる痛みでしたが、徐々に失神するレベルになって。当日中に緊急手術を受けて治療しました」と話す。

「我慢できない痛み」安田大サーカス団長も経験した「精巣捻転」 “壊死”を防ぐには
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「今は妻ですが、当時は結婚前で一緒に生活をしていました。なかなか『睾丸が痛い』は、恥ずかしいから言いづらいんですよね(笑)。最初はずっと『お腹が痛い』と言っていたんですが『実は睾丸が痛いんだ』と言って病院に行くことになりました」(以下、団長安田)

 痛みが増すことで徐々に「睾丸が痛い」と自覚していった団長安田さん。一度は病院に「うちでは対応できない」と断られてしまったが、その後、対応できる別の大きな病院が見つかり、そこで手術を受けることになった。

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「男の人は経験したことがあるかもしれませんが、睾丸にボールが当たったとき、実際の痛みのピークって当たったときなんです。その後、どんどん(痛みが)収まっていく。でも、当時は収まらなくて、ボールに当たったような痛みを超えていく。病院に行ったときは、発症から6時間以上が経っていました」

 病院では、担当医師から「6時間以上経っていると、腐っている可能性がある。腐っていたら基本切除するが、切除していいか」と聞かれた。団長安田さんは、切除を承諾した上でマネージャーに電話をし、事情を話したという。

 手術後、団長安田さんが病室で目を覚ますと、医師は「切除するタイミングで捻転が戻った」と説明した。

「これがまた奇跡的で。袋を開けて、これから切除するというタイミングで、ねじれていた部分がブルッと戻ったんです。だから、手術はこれからねじれないように固定して、閉じて終わりました」

 振り返ると団長安田さんは年に数回、睾丸に痛みを感じていた。

「(医師から)もともと精巣が細いと言われて。何回もねじれてほどけて、という事象が繰り返されていたんじゃないかと。精巣が細い人は一定数いて、そういう人たちは、いつかねじれてしまうことが多いそうです。ただ、1個睾丸をとらないといけなくなっても、1個残っていれば子どもは作ることができるとも説明されました。僕は芸能界でも我慢強いほうだと思っていたんですが、その僕でも精巣捻転は我慢できない痛みでした」

■ 医師「恥ずかしがらず、早めの受診を」 発症から約6時間~12時間が“ゴールデンタイム”

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 安田団長も警鐘を鳴らす精巣捻転。横須賀共済病院の伊藤悠城医師は「症状が出た場合、いち早く医療機関の受診をお願いしたい」と話す。

「精巣捻転という病気は、読んで字のごとく、精巣という臓器がくるっと捻転しまう、ねじれてしまうという病気です。精巣は、精子を作るための臓器で、本来は陰嚢の袋の中に入っているボールみたいなものです。そのボールがあちこちにいかないように、本来は一部でしっかり固定されて、動かないようになっています。しかし、中には固定の弱い方がいらっしゃって、時として精巣が180度、360度、もしくはさらにそれ以上ねじれてしまうときがあります」(以下、伊藤医師)

 本来は動かないはずの精巣が、動いてねじれてしまう――。このねじれによる主な症状は、血流が止まることで、腹部の強烈な痛みとして現れる。伊藤医師によると、精巣捻転は新生児の時期や、10〜15歳頃の思春期に発症しやすく、放置すると将来の不妊症の確率にも影響するという。

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「痛みを訴えるのにはちょっと躊躇するような場所ですので、若い子たちは(症状が出ても)しばらく我慢してしまうことがあります。精巣捻転は、発症から6時間~12時間程度がゴールデンタイムと言われていまして、目安として、その間に捻転をねじれを解除してあげないといけないと言われています。ゴールデンタイムを超えると、精巣が壊死してしまう、腐ってしまう状態に陥ります」

 一刻を争う精巣捻転の治療。伊藤医師の病院では受け入れの制限はしていないものの、このコロナ禍で、一部の病院で緊急手術の対応を中止するケースも出ている。伊藤医師は、間欠的に精巣の痛みを感じる不全捻転の事例もあると話す。

「精巣捻転は不全捻転と言って、ちょっと痛みが出て戻ったりするときがあります。ねじれを繰り返していて、そのうち自分で戻らなくなる捻転症になることもあります。もし精巣の痛みを間欠的に感じるようであれば、不全捻転の可能性があります。今後、完全な捻転に陥る可能性がありますので、そういった場合は泌尿器科に相談いただくのがいいかと思います」

(『ABEMAヒルズ』より)

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