谷川浩司九段、弟子・都成竜馬七段を通してわかる次世代の感性「新しい感覚が掴めたりする」
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 十七世名人にして、タイトル通算27期のレジェンド・谷川浩司九段(59)。「光速の寄せ」の異名のもとに一時代を築いた名棋士は、次々と出てくる新たな才能に刺激を受け続けている。「第1回ABEMA師弟トーナメント」には、弟子の都成竜馬七段(31)と出場するが、28歳離れた弟子の感覚、さらにはその世代の棋士たちと触れることで、若い感覚に触れられている。「弟子がいなかったら、今の20代との接点も難しかったでしょう。彼らの考え方、感覚を吸収できることがある」のが、若い感性を持ち続けられる理由だ。

【動画】師弟関係について語る谷川浩司九段

 最年少名人、21歳2カ月。当時からすれば「中原-米長」時代に割って入るように、初タイトルを名人で飾った新鋭に、周囲も大いに戸惑いと驚きを覚えたことだろう。それから38年。現在では藤井聡太竜王(王位、叡王、棋聖、19)が大活躍。40歳も下の棋士が序列1位に立つことを、谷川九段も想像しなかったかもしれない。ただ、藤井竜王が最年少15歳6カ月で全棋士参加の朝日杯将棋オープン戦で優勝した時の言葉は、あまりに印象的だ。

 谷川九段 全棋士参加の棋戦で優勝するのはまだ難しいと考えていました。私たちの予想を遥かに上回るスピードで、強くなっているようです。名人と竜王を破っての優勝は見事ですが、但し、20代・30代の棋士に対しては、「君たち、悔しくないのか。」と言いたい気持ちもあります。

 弟子の都成七段も含め、自分と藤井竜王の間にいる世代が、そんなことでいいのかと発破をかけるようなコメント。その後、周囲の予想をはるかに超えるペースで強くなった令和の天才には脱帽しつつ、周囲の棋士にはもっと奮起してほしい気持ちは強い。

 ただ、ここだけ見れば厳しいところだけが浮かび上がるが、谷川九段としても後進の指導・育成には、いろいろ頭を悩ませた。たとえば都成七段が奨励会時代、なかなか伸び悩んだ時には「褒めた方がいいのか、厳しくした方がいいのか」と、師匠も苦しんだ。人柄のいい都成七段に「みんなに好かれるのはいいところ。ただ優しすぎて勝負の世界ではどうなのかなと思うところもあります」と、性格面でも考えることもあった。一時はかなり厳しく教えたこともあったが「君は強い」と自信がつくような言葉をかけるようにしたことが、後の四段昇段にもつながった。

 厳しい世界で叩き上げの棋士だけが生き残る時代から、将棋への向き合い方、勉強法など、いろいろ変化した。「私の修行時代と、都成君の修行時代では全然違っている。押し付けるということは時代錯誤。ただ、棋士として長く活躍し続けなければいけないので、いろいろな工夫が必要というのは変わらないものだと思います」。様々な思いを持ちながら、谷川九段と都成七段が、超早指しで他の師弟と戦う。「味方が弟子だと、より心配事が増えますね。ただ師匠も最近頼りないので、弟子も心配しているかもしれませんが(笑)」。普段、あまり見ることができない「谷川・都成」の師弟関係。興味津々のファンも多いことだろう。

◆第1回ABEMA師弟トーナメント 日本将棋連盟会長・佐藤康光九段の着想から生まれた大会。8組の師弟が予選でA、Bの2ブロックに分かれてトーナメントを実施。2勝すれば勝ち抜け、2敗すれば敗退の変則で、2連勝なら1位通過、2勝1敗が2位通過となり、本戦トーナメントに進出する。対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで、チームの対戦は予選、本戦通じて全て3本先取の5本勝負で行われる。第4局までは、どちらか一方の棋士が3局目を指すことはできない。
(ABEMA/将棋チャンネルより)

【動画】師弟関係について語る谷川浩司九段
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