アフリカの民族柄や伝統の織物を使って作られているファッションブランド「CLOUDY」。2015年に事業をスタートし、去年10月には渋谷に店舗をオープンさせた。
ブランドを運営する株式会社DOYAを立ち上げたのは、銅冶勇人さん。「ファッションブランドの運営」と「アフリカの支援を行うNPO法人の代表」という二足の草鞋を履く“二刀流経営者”だ。
「『アフリカに雇用を作りたい』ということを目的にスタートしたブランドになります。売り上げの10%をNPOに還元するというルールを決めて、ブランドを運営しています」(以下、株式会社DOYA/NPO法人Doooooooo 代表・銅冶勇人さん)
彼が代表を務めるNPO法人Dooooooooでは、アフリカで教育の充実や雇用を生み出す活動を展開。CLOUDYの売り上げの一部はDooooooooの活動資金に充てられ、現地にあるCLOUDYの工場の運営などに使われている。
「アフリカで学校を建設して、子供たちに教育の機会を提供しています。(また)工場の建設・運営をしながら、現地の学校を出たことがない人や仕事がない女性を中心に、工場で働けるようになってもらうということを提供しています」
ファッションブランドの売り上げをNPOの活動資金に――。そんな循環型のビジネスモデルを作り上げた銅冶さんがアフリカに興味を持ったのは、大学生のころ。「一生行かない場所に…」という思いから訪れた、ケニアでの経験がきっかけとなった。
「(ケニアの首都・)ナイロビにあるキベラスラムという場所に行って、初めて『自分がこれまで生きてきた生活に当たり前のようにあったものがほとんどない』(と思いました。)自分がこの出会いをもとに『どんなことができるんだろうか』と感じて、それを形にしたいなと考えたのが最初のきっかけになります」
仕事も学校もない……トイレは200世帯にたったひとつだけ。生まれて初めて目にした光景に心を揺さぶられた銅冶さんは卒業後、ゴールドマン・サックス証券に勤めながらNPO法人を立ち上げた。途中、NPO法人での活動に夢中になっている自分に気がつき、会社員の仕事を辞めてCLOUDYを立ち上げることになった。
「アフリカの人たちの中で、洋服や衣装、縫製作業というものが文化としてあるなと。工場を作ることで、多くの雇用数を作っていけるんじゃないかなと考えたときに、ビジネスとして展開していけると思いました」
ブランドの立ち上げから6年。売り上げたお金の使い道はさまざまだ。Doooooooでは現在、工場を5か所運営し、約600人を雇用。今年には、5ヵ所目となる学校の設立も決まっている。“アフリカの支援”という背景があるCLOUDYについて、銅冶さんは「あくまで、商品の良さで勝負したい」と話す。
「店舗にはアフリカの写真は1枚も飾っておりません。そういった写真を飾ることで、興味がある方は入ってきてくださいますけど、奥にあるストーリーが最初に来るのではなくて、プロダクトがいかに可愛いか、良いか、というところで判断していただきたいです。より多くのお客様に(店舗に)入ってきていただけるきっかけになるのかなと思い、飾らないようにしています」
現在は、日本の農業のノウハウを現地に持ち込むプロジェクトも進行中。「まずは自分が動くことから」……銅冶さんの挑戦は続く。
「(アフリカに対し)飢餓や貧困、ハエがたかっている、そういうことを想像される(人もいる)と思うんですけど、おそらく幸福度的なところで言うと、幸せの見つけ方は僕たちよりも圧倒的に上手な気もします。逆に(アフリカの人たちは)『自分たちのポジティブな部分をもっと伝えてほしい』と。そういったことはしっかり伝えていきたいなというのが、僕らの一つの使命なのかなと思っています。手応えを感じてしまったらもう終わり。次から次へと現場でしかわからない問題点が出てくるので、しっかりとその部分を追及していきたいです」(『ABEMAヒルズ』より)
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