“批判型”か“提案型”かに揺れる立憲民主党に成田悠輔氏「政権が信じられないくらい話下手なんだから、“解説型”になってもいいのでは?」
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 国会論戦がスタートした今週、立憲民主党の“変化”が話題となっている。

 “政権批判”、あるいは“疑惑追及”のイメージがあった同党だが、代表質問に立った新代表の泉健太氏は「私たちは持続可能な日本を実現するための3つの分配を提案する」、さらに公共施設工事での省エネ・再エネ義務化法案についても「地域活性化にもつながる。この提案はいかがだろうか。問題点があればぜひご指摘をください」として総理に感想を求めるなど、“提案”に大きく時間を割いたのだ。

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 党代表選で、「通常国会においても、現実的でバランス感覚のある政策提案を続けてまいりたいと思う。同時に政府や提出法案に問題があれば、鋭く指摘し是正をしてまいる」と述べていた泉代表。一方、身内からは「野党には批判こそ必要」と“提案型野党”への転換に懸念を示す声も上がっているようだ。

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■「批判型・提案型と分ける必要はない」

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 EXITのりんたろー。は「よりよい社会を目指すのが政治の目的であって、間違ったことは指摘し、その代わりにこういうやり方もありますよね、と提示するものだと思う。批判型・提案型と分ける必要はない気がする」と話すと、相方の兼近大樹も「実際は野党が法案に賛成していることも多いのに、攻撃や批判して叫んでいるシーンが面白いから流す。そして、そればかりを見せられる我々が、”こいつら、いつもこんなことやってんのか”と勘違いしてしまう。一方で、野党に優しくしようとすると、“お前らが優しくしてたら、何の意味もねえだろ”という声が届いてきて、八方塞がりになってしまう。ここで一度、野党への批判にはある程度の歯止めをかける必要もあるのではないか」と問題提起。

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 実際、同党の中谷一馬衆議院議員は、第195回〜第204回国会のデータをもとに「政府提出法案の82.6%に賛成している」と指摘しており、昨年10月の衆院選で落選した立憲民主党の川内博史氏も「政府与党が提案するものについて批判的に検討を加え、修正すべきものがあれば、修正できるよう必死で努力する。そして、それを国民の皆さんに提示していく。それが野党の仕事と思う。あえて自分たちの党に自分でレッテルを張ることはない」と訴える。

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 「そもそも政府与党の提案は、主に霞が関の官僚の提案でもある。ところが“もう時間がないので、早く決めてください”と言って非常に巧妙に与党を通して国会に出して来るので、十分に練られていないものも往々としてあるわけだ。実際、昨年の国会では英語民間試験の導入や、国語・数学の記述式の導入などについて案の改善をしてもらった。しかしワーっと騒いでいるところだけがニュースで切り取られ、そのイメージが浸透してしまうため、“こいつら、そういうことしかやっていない”と思われてしまう。

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 一方で、政府与党は自分たちの案を押し通したい、ちょっとでもいじられたくない。しかも都合が悪くなると嘘ついたり、改ざんしたり、隠蔽したりするようになってきている。そういう中で、野党を黙らせるための“パワーワード”というものが政府与党の一部から出てきた。それが“野党は批判ばかり”だ。しかし、“ばかり“というのは当たらない。

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 そして、立憲民主党がごくごく僅差で敗れている選挙区などもたくさんあるわけだ。選挙の勝敗が全てであるというふうに私は思っていない。今回は若干足りなくて当選に届かなかったけれど、さらに努力を継続することによって次はまた違う結果になるかもしれない」。

■目的とターゲットが違う、ということではないか

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 一方、与野党に若者政策などを提言してきた日本若者協議会の室橋祐貴代表理事は「批判しない野党というのはこれまでも存在してこなかったし、批判と提言は二項対立ではない。あえて言うなら、目的とターゲットが違う、ということではないか」と指摘する。

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 「目的という観点では、55年体制下の社会党のように、“万年野党でもいい”というような立場から政府の良くない部分を批判し続けていればいい。それでも憲法改正に反対の人たちが一定数いるので、ある程度の議席も獲得できていたからだ。そかし、それでは政権交代は難しい。もし政権を取った場合、何を実現するのかという構想を国会の中でも示していく必要性がある。

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 ターゲットという観点では、特に立憲民主党のコア支持層とされる60~70代の人たちは、やはり大学紛争などを通して“対立“や“反権力”を求めてきた世代だ。“怒っていた方が良い”というのも、その世代が求めているものだと思う。ところが今の30代以は、日本社会の様々な課題を一つでも解決していってほしいと望んでいる。つまり、“建設的な姿の方が良い”ということだ」。

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 その上で室橋氏は「メディアはアンコントローラブルだし、切り取りをされるということが分かっているのであれば、他のテーマを重点的に扱った方がいいのではないか。例えば衆院選の1カ月前、立憲民主党は“政権を取ったらこれをやります”数日ごとに発表していった。そこで最初の方に挙げられていたのが、森友・加計や、日本学術会議といったテーマだ。それはつまり、ニュースで一番に取り上げられるということだし、そこに力を入れているんだなと一般の人は思うだろう。そういうPRが、あまりにも下手すぎる。

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 民主党が政権交代を果たした2009年以前を思い出してみると、無駄を削り子ども手当をとか、高速道路を無料化するなど、お金の話をしていた。また、“シャドー・キャビネット”や、政権を取ったら300日でこういうことをやるという“300日プラン“といったパッケージもまとめていた。それが最近ではスキャンダルや人権系のテーマが非常に多く、しかも全く刺さっていない。第1次安倍政権はイデオロギーを前面に出し、教育基本法改正などをやろうとしたから短命に終わったが、第2次安倍政権は経済を安定させた上で自分たちがやりたい集団的自衛権などをやっていった。そういうバランスをミスっていると思う」。

■“解説型野党”みたいなものもあってもいいのではないか

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 他方、イェール大学助教授で半熟仮想株式会社代表の成田悠輔氏は「批判ばかりになってはいけないのだろうか。世の中のほとんどの人は、何か一言を言いたいときに政治に興味を持つのだと思うし、Twitterを見ていても、一般人でも有名人でも、キレている人ばかりじゃないか。そういう、ガス抜き役を果たすだけでも意味があると思う。

 あるいは、“解説型野党”みたいなものもあってもいいのではないか。ぶっちゃけ今の野党では政権は取れないが、政府与党にもとんでもなく説明が下手だという問題点がある。僕は話のつまらない大学教授のおじさんたちに慣れているが、その基準でいっても、菅前総理や岸田総理は信じられないくらい話が下手で、伝わっていないと思う。

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 “今後必要なのは新しい資本主義だ”と言ってみた後に、その新しい資本主義が何を意味しているのかはこれから考えるみたいな。え?みたいな感じだ。そう考えると、政府と霞が関の連合体がこの政策をやらなくちゃいけないという論理的な理由や制約の説明を、みんなが分かるような形でできる人が必要だ。

 野党にはその役割を果たせる可能性があるんじゃないか。アメリカの政治でいう報道官とかスポークスマンみたいなプレゼンテーションの機能をYouTubeなんかで流す。自民党の100倍分かりやすく、国民が納得できるような、野球解説とかサッカー解説のような形。そして問題があれば、なぜそうなのかも説明する」と提言した。(『ABEMA Prime』より)

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