「月面に遊園地を作る」“宇宙エンタメ”企業が掲げる目標と課題 代表「宇宙は遠い存在」
“宇宙エンタメ”の今後の展望
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 去年12月、カザフスタン・バイコヌール宇宙基地から打ち上げられた宇宙船『ソユーズ』。実業家の前澤友作さんが、日本の民間人として初めて、国際宇宙ステーションに降り立ち、12日間滞在した。

【映像】2040年に実現?“宇宙エンタメ”の今後の展望

 一歩ずつ、着実に歩みを進めてきた人類の宇宙への挑戦。日本でも、岸田総理が「日本人宇宙飛行士の月面着陸を2020年代後半に実現させる」という目標を表明している。

 そして、この流れは経済界にも……。宇宙ビジネスを巡っては、アメリカを中心に企業の動きが活発化。日本でも多くの企業が、宇宙をテーマにしたビジネスを打ち出している。

 そんな“宇宙ビジネス”最前線に飛び込もうとするベンチャー企業がある。それは、榊原華帆さんが代表を務める「スペースエンターテインメント」で、社名の通り“宇宙エンターテインメント”事業を行っている。そして、この会社が目指す究極の目標は「月面に遊園地を作ること」だという。

 幼いころから宇宙に憧れがあったという榊原さん。東京大学卒業後、1度は大手商社に就職するも退職し「宇宙に関わる仕事がしたい」と去年2月に会社を立ち上げた。しかし、一体なぜ”エンタメ”という分野を選んだのだろうか。榊原さんに話を伺った。

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「宇宙って私たちの現状の日常の生活とは、接点を感じづらいものだと思っていて、宇宙と聞くと、なんとなく遠く思ってしまったり、壁を感じてしまうことが多いんじゃないかと思う中で、例えば『月に行く』『火星に行く』そんなことができたら、いろんな体験が鮮やかになったり『これがあるから宇宙に行きたい』。そういうものが、現状あまりないかなというのがきっかけです」

 去年、商業的に利用するための宇宙ステーションを建設する計画が発表されるなど、すぐそこまでやってきている「誰もが宇宙に行ける時代」。

 そんな宇宙に「もっと興味・関心をもってもらいたい」そんな思いから、榊原さんはあえてエンタメという分野を選んだという。しかし、月面にテーマパークを作るという壮大な目標はまだまだ先の話。まずは足元から地道に進めていきたいと話す。

「最初に地球上で『月面のテーマパークとはこういう体験です』とか『エンターテイメント体験ってこういう形がありえるんです』というのを、地上のいろいろな場所に作っていって。月面にたどり着くまでにいかに、その体験を作っていくかっていうところが、今持っている課題でもあり、今取り組んでいることでもあります」

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 現在、彼女たちが力を入れているのが「アート衛星」の制作だ。アート衛星はアーティストとともに衛星の色や形状、機能をプロデュースし宇宙に発射。ひとつのアート作品にするというプロジェクトだ。すでに海外で活躍するアーティストとのコラボも決まっていて、今年中に第一回目のプロジェクトが開始予定になっている。

「色々なアートが出てきている中で、私たちは宇宙を美術館にした宇宙にあるアート。実際に打ち上げて、本当に宇宙にある新しい形のアート作品として提供するという事業になります。とても小さいので、地上からは肉眼では見えないんですが、何らかの形で見えるようにして、地上でもアート体験を楽しめるようにしていきます」

 人類初の宇宙飛行から約60年。これまで積み重ねられてきた人類の宇宙への挑戦に新たに加えられようとしている新たな1ページ。榊原さんは今後の展望を語った。

「ビジョンとしては2040年までには作りたいと目標をおいています。重力が少ないからこそ、例えばコースターなどの絶賛アイディアとしてどんどん出しています。宇宙をより精神的に身近に感じることで、もっと宇宙産業に関わる方が増えたり、『宇宙旅行に行きたい』と思う方が増えるだけで、産業の流動性ってどんどん変わっていく。『私たちがエンターテインメントを実現します』と発信をしていくことで、流れを作っていきたいなというのがあります」

(『ABEMAヒルズ』より)

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