去年、店員に親密な接待をさせていたとして秋葉原にあったコンセプトカフェ5店舗が一斉摘発された。ネットや週刊誌では、ぼったくりや客引き、過激サービスなど、良からぬ噂が飛び交っているが、ハマっている人は一体コンセプトカフェ(コンカフェ)の何に魅了されるのだろうか。
【映像】消毒は「聖水」で! “魔法”がテーマのコンカフェ(1:00ごろ〜)
ニュース番組『ABEMA Prime』では、コンカフェ発祥の地、秋葉原にある老舗「アフィリア・クロニクルS」を取材。すると、入り口で待っていたのは……
「聖水で消毒お願いしてもいいですか?」
消毒は聖水、体温は魔力測定で、コロナ禍の入店確認もバッチリ。「アフィリア・クロニクルS」は、超古代に栄えたアフィリア魔法王国という“魔法の世界”がコンセプトだという。キャストは見習い魔女っ子、お客さんは一人前の魔法使いという設定で、店員は敬意を込めて「先輩」と呼んでくれる。
「アフィリア・クロニクルS」の他にも、ナースが接客してくれる病院コンカフェ、渋谷ギャルのコンカフェ、さらに執事や和装といったメンズコンカフェなど、世界観はお店によってさまざま。エリアも秋葉原だけでなく、歌舞伎町や池袋をはじめ全国に広がっている。
コンカフェの人気を当事者はどう捉えているのだろうか。コンカフェで7年働いている歌舞伎町最強のコンカフェ嬢・岩瀬唯奈さんは、客層について「メイドさんのコンカフェとなると、男性のお客様が多いイメージを持たれるかもしれないが、今は全然そんなことはない。むしろ私は今26歳だが、通ってくれているお客様の半分くらいは私より年下だ。その中で半分くらいは女の子だったりする」という。店舗については「ここ2年ぐらい(コンカフェのお店が)めちゃくちゃ多い。同じ建物に4〜5店舗入っていたり、個人的には“コンカフェ戦国時代”だと思っている」と述べ、「コンセプトや世界観が強めの店舗もあれば、どっちかというとコミュニケーションだったり、おしゃべりするのがメインのカフェ&バーみたいなお店や、最近だと一部で過激なサービスをするお店もある」と現状を語った。
コンカフェに通い続けて20年以上のコンカフェ研究家・ふゅーちゃーさんは「一番大きいのは常連になる楽しさ。より居心地が良くなっていく」とコンカフェの魅力を語る。「ほとんどの人にとって自宅より自宅なので特別な外出先ではなくて、帰る場所みたいな。そこに働いているキャストさんたちを友達もしくは家族くらいに捉えている人もいる。どうしても人は、自宅と職場以外の場所が欲しいのではないか。いわゆるキャバクラとかのドキドキさせる感じではなく、普通の飲食店ほど冷たいマニュアル通りでもない。コンカフェの距離感はちょうど良い」という。
説明を聞いていたネット掲示板『2ちゃんねる』創設者のひろゆき氏は「居場所が欲しいんだったら、彼女を作ればいいのではないか」と質問。ふゅーちゃーさんは「すいません、結婚して子どももおります(笑)」と応じた。
一方で、過剰な接待やぼったくりなど、一部悪質のお店をどのように思っているのだろうか。岩瀬さんは「そもそもコンセプトカフェは、本来ぼったくりではないし、一部の店舗しかそういうことはしていない」と訴え。「風営法のルールとして、お客様と撮るツーショットチェキや、お客様との乾杯、じゃんけんも接待行為に当たる。コンカフェの内容がほとんど風営法に引っかかってしまうものばかりなので、風営法許可をみんながちゃんと取ればいいだけの話。許可を取らない店舗があるから良くないイメージがついてしまう」と話す。
ふゅーちゃーさんは「(ぼったくりがあった)お店で働いていた人の話を聞いたことがある」といい、「本人は『お店がちゃんと協力してくれない』と言っていた。いきなりキャッチに立たされて、ろくにシステム説明ができないうちに現場に入って、(客が)『思っていたのと違う』と言って、揉めるケースがけっこう多いと。それをわざと狙っている運営もいる」という。
ふゅーちゃーさんによると、自身が通っているお店の中で、風営法許可をとっている割合は「すごく少ない。数店舗だけだ」という。その上で「どこまでが接待に当たらないか、その線引きが難しい」と指摘する。
「先日、千代田区の方でコンカフェの勉強会があった。(秋葉原)コンセプトショップ協会と千代田区と万世橋の3つの勉強会があって、そこの議事録を見させてもらった。『風営法の許可を取ればいい』といっても、風営法を取ってしまうと深夜営業ができなくなったり、歌舞伎町でテナントを借りられても、秋葉原だと『風営法を取っている店だったら貸さない』というテナント主さんも多い。結果、飲食でギリギリを攻めて、でもよく分かってないからギリギリを攻めすぎて摘発みたいなことが起きている」
コンカフェの推進を目的に発足した秋葉原コンセプトショップ協会では、風営法に関する勉強会を開催。最近では働く人が安心できるような取り組みも行われているという。
ひろゆき氏は「1回コンカフェに行ったが、そんなに面白いとは思わなかった」という。その上で「メイドカフェが流行ったのは基本、脱法行為だからだと思う。要はお客さんの横で歌ってくれる、何か(食べ物に)盛り付けしますとか。あれは風営法でいう接待行為なので、許可を取らないと違法だ。それが違法行為だと分からない形で、若い女の子を働かせて、経営者が儲けている。儲かるから脱法行為として広まっているだけだ」と脱法性について指摘。「客と話をすること自体が基本的に接待だ」と述べた。
ひろゆき氏の見解に、ふゅーちゃーさんは「がっつり隣に座って接客したり、ドリンクをもらってめっちゃ話せるコンカフェだったら『(風営法の許可を)ちゃんと取ってください』となるが、そういうお店ばかりではない」と回答。「がっつり話すわけではなく『ふゅーちゃー久しぶり』と(ドリンクを)出すときに話して、いなくなる。それも接待なのかと言われると、そこまでじゃない。それだけで『風俗営業許可を取っていないから違法だ』というのは難しい」と語った。(『ABEMA Prime』より)
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