政府は新型コロナウイルスのオミクロン株の濃厚接触者の待機期間について、一般人は10日間から7日間に短縮、エッセンシャルワーカーについては2回の検査を組み合わせて5日目に解除する方針を発表した。
厚労省によると、7日間で待機を解除した場合、その後に発症するリスクは5%で、これは不安を感じて検査を受けた人の陽性率と同じだという。感染が急拡大し医療への負荷が懸念される中での判断について、テレビ朝日社会部・厚労省担当の松本拓也記者が解説する。
Q.濃厚接触者の自宅待機期間、なぜ短縮することに?
オミクロン株の感染拡大で、感染者だけではなく濃厚接触者も急増していることが背景にある。行政機関など様々な分野で事業の維持が難しくなっていて、影響が出ている状況だ。職場への早期の復帰を認めることが、社会活動が滞らないようにすることに繋がる。こうしたことを目的としている。
Q.「短縮しなきゃ社会が回らない」「短縮して大丈夫?」という両方の意見が。オミクロン株の性質上、待機期間を短縮しても問題ない?
濃厚接触者の待機期間に関しては、今月14日に「当初の14日間から10日間」に一度短縮されている。この時点で、厚労省はオミクロン株の性質を考慮した上での短縮だと説明していた。国立感染症研究所の分析では、オミクロン株の感染者は暴露日から7日目までに94.5%が、10日目までに99.2%が発症するとしている。
これまで、国は7日目だと5%の残存リスクが残った状態で、待機後に発症するリスクが残るとして慎重な態度をとってきた。ただ、海外ではワクチン接種を条件に隔離措置を免除しているところもある。専門家からは、8日目以降はほとんどウイルスの排出がないと指摘されていて、オミクロン株の拡大でリスクが伴っても社会活動を止めないためにさらなる短縮に踏み切ったものとみられる。
Q.各地でまん延防止等重点措置がとられているが、専門家は「緊急事態宣言の発出」についてどう考えている?
専門家を取材していると、意見は様々。日本医師会の中川会長は「今の状態を深刻に受け止め感染防止策をやってもらっていると思うので、緊急事態宣言は選択肢の1つだと思う」としている。
一方、政府分科会の尾身会長は「感染状況がもっと悪くなれば強い対策が必要になる」としながらも、「緊急事態宣言という選択だけではなく、オミクロン株にふさわしい方法をとれば効率的に社会への制限やバランスをとることができる」としている。感染が起こりやすい場所は、マスクをつけずに大声で会話をする飲食の場だったりするので、こういった場での接触を減らすことが大事としていて、「人流抑制」よりも「人数制限」だと話している。
さらに、感染状況などをAIでシュミレーションする専門家からは、「例えば東京都では会食時の人数制限をすでにお願いしていて、人々の行動変容が見られている。そもそもまん延防止等重点措置の効果も限定的だろう」と話している。この専門家は2月の上旬には感染者がピークアウトすると試算していて、「試算から判断すれば東京では緊急事態宣言は必要ないと思う」としている。