「野党間の予備選や地方自治を通じ、政策を有権者に見てもらわなければ」橋下氏が立憲・泉代表に提言

 立憲民主党は去年の衆議院選挙での野党候補の一本化について「一定の成果はあったが想定していた結果は伴わなかった」「存在感を示しきれず、期待値が維新に集まる結果となった」との選挙総括をまとめた。また、共産党との限定的な閣外協力については「政権は一緒にしないという合意が主旨だったがむしろ誤解となって伝わってしまった」と指摘した上で、「今後はより慎重に対応する必要がある」としている。

 29日のABEMANewsBAR橋下』に生出演した立憲民主党の泉健太代表が、今回の総括をめぐって橋下氏と意見を戦わせた。

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橋下:僕が“新生”立憲民主党として残念だったのは、なんで原案から“数字”を削ってしまったのか、というところ。小選挙区では3%ほど、比例代表では5%ほどの票が他に流れてしまったという分析を削除した上でのまとめになってしまった。そこをちゃんと分析した上でこういう総括をしたんだ、と説明した方が、有権者にはメッセージが伝わると思う。

泉:単純に言えば、それは“民主的な党”だからだ。記者さんからも「文章を変えた」とか言われるが、“根回し”をして決めていれば、おそらく変えたことが知られないまま最終案が了承され、こうして話題ににもならなかったと思う。しかし常任幹事会で皆さまにお見せし、「ご意見があったらお寄せください」と呼びかけ、修正して最終案にまとめる、その過程が皆さんに見えたということで、そのこと自体は別に悪いことではないと思う。

橋下:もちろん、意見を受けての修正はいいし、当然のことだと思う。でも、間違っているわけではないとしたら、データや数字は表に出すべきだと思う。

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「ヒトラー」問題で激論
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泉:数字については、印象、受け止め方の問題があったと思う。もちろん党の中にデータは残しているので、見ようと思えばどなたでも見られるし、書くかどうかの判断だった。

橋下:ちゃんと数字が出てきて、それを元にこういう総括しましたという方が、有権者の支持が広がるなというのが、僕の印象。自民党も隠すことが多いから、納税者、有権者に対しては“数字は全部出す“という強烈なメッセージを出した方が得になると思う。野党が支持を広げて強くなってもらわないと。与野党が切磋琢磨しないことには、与党もピリッとしない。多くの有権者の支持を得ようというのなら、党内の意見だけに縛られるということは絶対にやってほしくない。

泉:それも一つの考え方だし、そもそも総括をする時に世論調査を改めてかけたというのも、これまで他の党がそんなにやってこなかったやり方だと思う。そこはまず一歩前進だ。そして、世の中の皆さんにとってどうかということを見ないといけない。

■橋下氏「地方の首長で実体験してもらうことが重要だと思う」

「野党間の予備選や地方自治を通じ、政策を有権者に見てもらわなければ」橋下氏が立憲・泉代表に提言
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泉:橋下さんは、“野党の予備選”ということを言っておられる。ただ、それには参加する政党が一定の信頼関係にないといけないし、政策もある程度は一緒のものがないといけない。僕はそう簡単ではないと思う」と指摘した。

橋下:簡単ではないが、自民も公明と政権を形成しているわけだし、例えば維新が単独で政権を取るのは現実的には無理だと思う。そこは国民民主、立憲民主、あるいは共産と、分かれているグループが派閥化し、最後は一つの塊になっていかないことには自公とは対峙できない。その塊になる過程において、どうやって派閥闘争をするのか、誰を候補者にするのかというところを、最後に決めるのは有権者だ。その点、自民党がすごいのは、最後は候補者の調整をやりきってしまうこと。長年の伝統に基づくとんでもない技術がある。

泉:立憲民主党から野党全体を見ると、共産党さんと維新さんが両側にいる感じなので、2党が乗ってくるのであれば、野党の予備選もできると思うが、維新さんは本当に共産さんと予備選をやるのか。

橋下:僕が聞いている限り、やると言っている。予備選をやりながら野党のあり方を決めていき、負けたら候補者を立てない、という割り切りだ。維新と共産党の候補者がどこかで戦って、共産党が勝った、そして勝ち続けた、となれば、維新は共産党の政策に寄っていかざるを得ない。逆に維新が勝ち続ければ、共産党は維新の政策に寄らざるを得ないということだ。

泉:ただ、支持者たちの納得も得られないといけないし、じゃんけんで負けたら後ろに回る電車のゲームみたいに、予備選の結果だけで“分かった。下につく”ということはなかなか起こり得ないんだろう。やはり、かつて小沢さんたちが自民党を飛び出し、その後、野党再編がある中で旧民主党ができた時には、自民党のような技術を駆使してまとまりになっていったということだと思う。そういう可能性も追わないといけない。

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橋下:あの時は“非自民“という一点だけで集まっていったが、今はそうじゃないから。いずれにせよ自公に対峙できる野党をどう作るのか、ゴールを考えたときに、各派閥化しかないので、その派閥の拡張、権力闘争をどう落ち着かせるかで、自民党のような技術を使うのか、最後は有権者に委ねるのか、野党の大きな課題だと思う。

泉氏:では、共産党が政権に入るということも?

橋下:有権者が選んだのならしょうがない。野党の方向性を有権者が選んでいく。予備選というのはそういうことだ。

泉氏:世論調査を見ると、政党同士の差は最初に分かってしまう。ただ、予備選は立憲民主党の党内でもできる。そういうものをやる中で、より候補者の信頼性、基盤を確立させていくということは大事だと思う。今回の総括で分かってきたこと、洗い出されたことは、政権選択選挙に持ってくるために、4年間で相当な合従連衡をやって党を大きくしてきたこと。その一方、何の政策を訴えているのか、というシンプルなメッセージが足りなかったということだ。

記者から聞かれることも、「次はどことくっつくのか?」「一緒にやるのか?」「どんな形でやるのか?」。いやいや、そうじゃなくて、まず議員一人ひとりが自力で勝つ決意、覚悟を持つこと。政策を有権者に訴えて、基本的には誰の力も借りずにやるんだという気概を持たないと。

橋下:国会議員が政策を打ち立てて有権者に共鳴させるのは確かに王道なのかも分からないが、いくら口で言っても、有権者は「口だけではないか」と思ってしまうところがある。そこは「立憲民主党になればこういう政策をやるんだ」ということを、地方の首長で実体験してもらうことが重要だと思う。例えば今回、国民民主は小池さんとタッグを組んでいく。その点、立憲民主が残念だったのは、横浜市長という大きな首長を取ったのに、議会に負けて公約を撤回してしまったところだ。

泉氏:橋下さんや小池さんは、議会をちゃんと押さえ、多数派を作っていくことをやった。“個人芸”というとあれだけど、個人の根回し力もすごいと思う。僕らと親和性が高いのは岩手県の達増知事など、元民主党でトップに立っている方々だ。そういうところで、モデルになるような地方自治をもっと作っていかないといけないと思う。(ABEMA/『NewsBAR橋下』より)
 

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