ミャンマー国軍のクーデターによる政権交代から1年。拘束されたアウン・サン・スー・チー氏が、一連の裁判で2度目の判決となる禁錮4年が言い渡されるなど、クーデターで実権を握った軍による弾圧は今も続いている。
1年前、民主化を求める人々が軍への抵抗を示す3本指で抗議をする中、そのデモに加わっていったのがミャンマー在住のパンクバンド「THE REBEL RIOT(レベルライオット)」。彼らは意思表示の方法として音楽を使った。
「人々よ 目を覚ますんだ 体制から抜け出すんだ 新たな世界に向けて進む時だ そこに辿り着く為 皆で進むんだ そして変えるんだ」(THE REBEL RIOT『One Day』歌詞)
軍や警察による監視の目をかいくぐり、ミュージックビデオの撮影を決行し、YouTubeに投稿。攻撃的なパンクで、権力への抵抗の意思を示した。
このとき、日本でバンドメンバーの身を案じていたのが、パンク専門のインディーズレーベル「BRONZE FIST RECORDS」で代表を務める高崎英樹さん。ボーカルのKyaw Kyaw(チョーチョー)さんと以前から親交があったという。
「(クーデターで大変な状況に陥った際は)すごく心配だったのが正直なところです。(現地の状況が)気になるので確認をしているんですけど、チョーチョーは『大丈夫だ』の一点張りでした。『大丈夫』と言われたら、私は私でできることをやるしかない。CDを作るなど、彼らのメッセージ・存在を広めることに注力するしかないと思っています」(以下、BRONZE FIST RECORDS代表・高崎英樹さん)
SNSで逐一、現地の状況を確認していた高崎さん。音楽で訴える彼らの思いを伝えるため、去年6月に3曲入りのアナログレコードを日本で発売。年末には、歌詞の訳やメンバーのインタビューを収録したアルバムも発表している。
また、現地で食料支援などの社会活動に取り組むバンドメンバーを支えるため、売り上げの一部を寄付するTシャツやステッカーも販売。高崎さんは、彼らのことを「パンクとしか言いようがない」と評し、その思いを広める手助けを続けている。
「メッセージ性も音楽性も、どちらかが欠けるとつまらないんですけど、彼らの場合は両方とも、活動姿勢を含めて全部が“パンク”。私が理想とする、そして自分も見習いたいと思うパンクバンドがレベルライオットだと思います」
アルバム制作時にはミャンマー国内の多くの印刷所から拒否されるなど、さまざまな壁が立ちはだかる中で表現活動を続けるレベルライオット。高崎さんは、命がけで訴える彼らのメッセージを今後も日本で伝えていきたいとしている。
「実際にSNSの反応を見ても、『ここまで酷かったのか』という意見が見られます。程度の違いはあれど、日本の貧富の差も以前よりも大きくなっています。建前上は『言論の自由』があることになっているんですけど、それも締め付けられるようになっている。『大本はそんなに変わらないんだよ』と感じてもらえたらと思います」
(『ABEMAヒルズ』より)
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