去年の飲食店の倒産件数が、新型コロナ対策の給付金の効果で前年より大幅に減少したことがわかった。
帝国データバンクによると、去年の飲食店の倒産は569件で、前年の780件から27.1%減少。自主的に事業をたたむ休廃業・解散件数も前年から8.7%減少した。休業や時短営業への協力金の給付が始まった2020年12月以降、月別の倒産件数は前年から減少が続き、コロナ関連の支援策の効果が表れた。
しかし、これは必ずしも良い面だけではなく、コロナ禍がさらに長引けば新たな問題が表面してくる可能性があるという。テレビ朝日経済部の平元真太郎記者が解説する。
Q.給付金はどういう条件で、いくらくらいもらえる?
東京都を例にあげると、認証店と非認証店に分けて、営業時間や酒の提供などに条件をつけている。中小の飲食店だと、時短要請に応じると店の売上に応じて1日あたり2万5000円から10万円が給付される。まん延防止措置が出ている先月21日から2月13日までの24日間、すべて時短要請に応じた場合は60万円から最大480万円の協力金が出る。
Q.飲食店への給付金制度が目立っているためか、「飲食店ばかり優遇されている」という声も散見される。飲食店の現場では営業制限や給付金についてどんな声が上がっている?
飲食店以外への支援としては「事業復活支援金」という制度がある。売上が減少した企業には中小企業で最大250万円、個人事業主だと最大50万円支給される仕組みがある。ただ、これでは足りないという声もあり、立憲民主党は倍額にして4月以降も給付できるようにする法案を提出した。
ある店の方は「時短要請が出てしまうとお客さんが来なくなるので、給付金をもらえてもキツイんです」と話していた。給付金があればそれでコロナによるマイナス要素を埋められるかといえば、そうではない。
Q.飲食店以外でも観光業などは大打撃だったと思う。こうした企業に給付金の効果はあった?
政府や金融機関が貸し出し基準を緩くしたことで、建設業なども倒産件数は減っている。しかし、コロナの影響は確実に及んでいる。例えば、街の工務店などは店の改装という仕事も多い。ただ、コロナの影響で飲食店が営業を縮小したことで改装が減り、建設業や工務店の仕事が減って売上が落ち込むというように、コロナの影響は飲食や旅行だけではなくそのほかの業界にも波及している。
Q.このまま給付金をもらえていれば、企業は問題なく経営を続けられる?
去年1年間の倒産が少なかったのは飲食店への給付金もあるが、新型コロナ対策として政府と金融機関が官民一体となって企業がお金を借りやすくしているため。給付金はもらえるお金だが、借りたお金は返さなければならない。
コロナ禍も丸2年、すでに返済が始まっている。お金を借りて一旦は倒産のピンチを免れたものの、返済が始まると結局行き詰って事業継続断念という例が出始めている。帝国データバンクによると、債務の利払いを事業の利益で賄えない「経営破綻懸念企業」は、去年3月時点で30万社に上る可能性もあると試算している。
本来は倒産するはずだったのに延命している企業のことを「ゾンビ企業」と言うが、今後、ゾンビ企業がバタバタ倒れ、遅れてきたコロナ倒産が表面化するリスクもある。(ABEMA NEWSより)