真っ赤なセットアップにベージュのコート水色のスカーフ……なんともド派手な衣装を着こなすこの男性は御年88歳。さらにはスカジャンにサングラスというハードボイルドなショットもあり、Twitterでは10万“いいね”を超える大反響が寄せられている(※数字は2022年2月4日現在)。
【映像】スカジャンもカッコイイ…! 88歳のおじいちゃんの“ハードボイルド”なショット
ネットで大きな話題を集めているこの写真だが、この反響の裏には知られざる、おじいちゃんとひとりの若者の物語があった。
岡山県北部に位置する真庭市。風情残る街並みや豊かな自然があふれるこの町に、1年半ほど前、一人の若者が移住してきた。祇園涼介さん(26歳)だ。
国産ジーンズブランド「RockwellJapan」の代表を務めている祇園さんが移住先で知り合ったのが、この地で農家を営む88歳の三好晋平さんだ。野菜をもらったり、一緒にお茶を楽しんだりとご近所付き合いを増やしていく中、こんなやりとりがあったという。
「野菜をくれたり、世間話したりみたいなのが日々あって。『同世代で派手な服とか、赤とかみたいなパッとした色を着てる人なんか全然いない。でも本当は、赤とか黄色を着たら元気が出てくるから、年寄りはそういうのを着ないといけんだけどな』ということをポロっと言われて。じゃあ自分がそういう機会を作って、ちょっとでも活力が湧いてきたらいいなと思ったんです」(祇園涼介さん・以下同)
移住以来、お世話になってきた、三好さんが漏らした本音。そこから三好さんにおしゃれを楽しんでもらう祇園さんのプロジェクトがはじまった。
最初は三好さんに似合う洋服を選ぶことからスタートしたという。祇園さんは古着屋を訪れ、悩みに悩みぬいた結果、三好さんに似合いそうな服をおよそ15着程度購入。YouTubeチャンネル「あなびと暮らし」に公開された映像には、祇園さんが「かっこよくしたいからなあ……喜ばせたいね!」と意気込む姿があった。
祇園さんは、撮影場所にも徹底的にこだわった。下見にも行き、カメラの位置や背景など入念に確認する。そして撮影当日、三好さんはちょっぴり照れくさそうにしながらも衣装に袖を通した。撮影が始まる。
色鮮やかな衣装を着こなし、ポーズを決める三好さん。88歳という年齢に囚われることなくおしゃれを楽しむおじいちゃんの姿がそこにあった。
あえて赤のセットアップを選んだ理由として祇園さんは「三好さん自身が年を重ねて、いろいろな経験が溜まっている。もう三好さんだけで、魅力が溢れているので、抑える必要がないと思ったんです。派手になろうが三好さんの良さは消えないので、そこを意識しました」と語る。
こうして実現したおじいちゃんの密かな願い。撮影した写真は後日、反響の声と共に三好さんの元に届けられた。
「『本当にありがとう』って言ってくれたので、良かったです。ファッションって生きていく上で別に絶対に必要な物かって言われると、そうじゃないと思います。ファッションって、その人の魅力を最大限に引き出すものだと思っていて、88歳で僕たちが想像するよりも、遥かにものすごい経験を積まれてきてる人が魅力的にならないわけがないんです。僕もこういう風な歳の取り方したいなと思っています」
(『ABEMAヒルズ』より)
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