1軒あたり2億円以上、即日完売となった新築一戸建てが公開された。この建売住宅は東京の高級住宅地、東京・世田谷区成城にあり、広さが170平方メートル以上。野村不動産はこの2億円台の戸建て住宅5軒を販売し、即日完売となった。
新型コロナの影響で在宅時間を重視し、マンションから住み替える人や注文住宅の手間を考えて切り替える人などが購入したということだ。
マンションだけでなく新築一戸建ても価格の上昇が続いているというが、どのような人が買っているのか。取材したテレビ朝日経済部の中村友美記者が解説する。
Q. どういう人が購入した?
公開されたこの一戸建ては2億7000万円。面積は170平方メートルで、リビングダイニングに加えて、寝室と子ども部屋、書斎、3階にはオープンテラスがある。12月にHPが開設されると4000人くらいがエントリーし、この家には最終的に5組の申し込みが入って抽選で決まったという。
コロナで家にいる時間が増えて、これまで住んできたマンションでは狭いなと感じて住み替えた人、自分で土地を購入して注文住宅を作ろうと考えていたけれども、手間などを考えて選んだ人などがいたそうだ。
一戸建ての市場では、広い敷地になると自分で間取りなどを決められる注文住宅が主流になるため、2億円台の建売住宅というのはこれまでほとんど存在しなかった。しかし、「ある程度かっこよくて設備が整っていればそれでいい」というお客さんのニーズがあったと。今回好評だったので、野村不動産としては今後も23区を中心に同様のタイプを提供していきたいとしている。
Q.首都圏の一戸建ての価格は上昇傾向にある?
東京カンテイによると、首都圏の一戸建ての価格は4カ月連続で上昇していて、平均が4093万円。一戸建てはこれまで安定したマーケットだったが、去年の後半あたりから強気な価格設定の戸建てが増え始めている。
これは、コロナ禍でより家に広さを求める志向が強くなってきていることや、都心のマンション価格があまりにも上がりすぎて手が届かなくなっているために、一戸建てを買う人が増えているということが考えられる。このまま価格が上がり続けるとマンションと同じ構造になってしまうのではないかとも言われていて、今後の動向も注目される。
Q.マンションの価格はどれぐらい上昇が続いている?
不動産経済研究所のデータでは、去年1年間の平均はバブル期の1990年(6123万円)を超えて、過去最高の6260万円になった。ここ最近の超低金利でお金を借りやすくなっていることや、資材高騰・人手不足をベースにじりじりと上がってきていた。
一方で、住友不動産の「シティタワーズ東京ベイ」という有明のタワーマンションは大変売れ行きが好調だという。担当者の方に話を聞くと、購入客として2つのタイプが急増しているそうで、1つは60歳代以上のいわゆる「アクティブシニア」の人々。有明は病院や商業施設へアクセスがいいことや、相続財産としての価値などを考えて購入する人が増えている。もう1つは、20歳代の共働き世帯、最近は「パワーカップル」と呼ばれたりもする。将来的に住み替えることも前提に置きながら、賃貸で賃料を払い続けるなら購入してとして運用しようという人が多いそうだ。
Q.金利が上がったというニュースがあったが、影響は?
直近で住宅ローンの固定金利が上がったというニュースがあった。3メガバンクの固定金利(10年)の数字を見ると、三菱UFJは3.49%、三井住友は3.5%、みずほは2.8%で、6年ぶりの高水準。しかし、実は窓口で適用される優遇金利はもっと低く、0.84~1.3%とまだまだ低い水準に変わりはない。
Q.固定金利引き上げの理由は? 不動産価格は上がる?
欧米で金融緩和政策縮小の動きが出てきたことにある。アメリカのFRB(連邦準備制度)が3月に利上げに踏み切る公算が高くなってきたことなどから、日本の国債の金利も上昇した。住宅ローンの固定金利は10年物の国債の利回りなど「長期金利」に連動するため、今回上がったということになる。
一方で、日銀は長期金利が大幅に上下することを抑える政策をとっていて、じわじわ上がることはあっても、一定の水準以上に急激に上がることは今のところ考えづらい。
住宅購入者の多くは半年ごとぐらいに金利を見直す変動金利を使っているが、3メガバンクは変動金利を変えていない。変動金利が参考にするのは「短期金利」で、こちらは全然動いていない状況がある。変動金利でお金を借りても利率が変わらない、より高額のお金が借りれられることで、需要が増えて価格が下がらないという状況が続く可能性がある。(ABEMA/『アベマ倍速ニュース』より)