「働きたくなければ独身より子どもが居た方がいい」「離婚して親権持てば働かないでリタイア生活が実現可能です」などと記したブログを投稿した、しぇす太さん(47)。
【映像】「子どもは国が育てるべき」親権持てばリタイア可?働きたがらない親×柏木由紀
5年前に離婚し、男手ひとつで小学5年生の息子を育てているが、働きには出ていない。子どもには「ウェブライターをしているとか言って適当にごまかし」つつ、貯金を切り崩しながら、「児童扶養手当」や「ひとり親手当」など、約6万円の受給で生活しているのだ。
「もともと働くのがあまり好きではない、“社会不適合者”だ。数年前まではバイトをしていたし、さすがに預金残高が100万円を切ったらどうにかしたいなとは思うが、やはり世の中、クソみたいな仕事の求人しかない。しかも大抵、週5日・フルタイムで働くことを求められるし、朝から働きたくはない。テレビのコメンテーターみたいな、楽して稼げる仕事だったらやりたいが(笑)、労働条件に対して時給も1000円ちょっとだったりと、割に合わない。能力がある人は働いた方が絶対に得だが、そうではない下層の人たちはリタイアしちゃった方が楽な部分が多いんじゃないかと思う」。
しぇす太さんが働かない理由は、もう一つある。ブログでは「親権を獲得できた際には、全力で家事育児に専念するべきで、外へ出て働かないという強い信念が必要」などと綴っている。朝は苦手と言いつつも、実は7時に起き、子どもと一緒に朝食を食べているのだという。
この点についてしぇす太さんは「子どもが小学生のうちは帰宅を玄関でお迎えしたいなという思いがある。逆に中学生になったら親が鬱陶しくなると思うので、外に働きに出ようと思う(笑)。実は塾の費用などについても、セーフティネット的な制度もあるし、行政は最低限のことはしてくれる。当事者にならないと見えてこないことも多いが、調べればいろいろなことが分かる。大学についても、本人が借金をしてでも行きたいというのであれば止めない。その方が、子どもがフリーターとかニートになったとしても良好な親子関係は維持できると思うからだ。逆に大学の費用を出してしまうと、就職がうまくいかなかった時に、際だって関係が悪化するリスクが生じる可能性があると思う」と持論を展開した。
前出のブログには「子どもは親の負担100%で養育するものだと思いがちですが、これからの社会は国全体で子どもを育てていくものなんだということを我々も知っておくべき」「子どもがいなければ施設から扶養する子どもを引き取るというのもひとつの手」とも記していたしぇす太さん。
慶應義塾大学特任准教授でプロデューサーの若新雄純氏は「しぇす太さんの話は、“ライフハック”的な文脈で捉えすぎないほうがいい」とした上で、「父親がたくさんのお金を稼いでいたとしても、どんな仕事をしているか知らない子も多いと思うし、子どもにとってはお金があること以上に、普段から親と会話ができていることの方が重要でもある。外で仕事をしていて家にいない親父よりも、一緒に遊んでくれたり、宿題を手伝ってくれたりする親父の方が良いじゃないか。僕たちは“男性も育休を取るべきだ”、という話をするが、ある意味では、ずっと育休を取っているということだ。もししぇす太さんが女性だとして、何も文句を言わないのだとしたら、それは矛盾していることにもなる。そういうところまで踏まえて、しぇす太さんの生活の在りようを考えれば、そこまで批判されるべきものだとは思わない」と指摘する。
ジャーナリストの佐々木俊尚氏も「しぇす太さんの話を聞いて反感を抱く人もいそうだが、ひとり親世帯に対して、これだけ手厚い保護があることを知って驚いた。我々は外に働きに出て、全く家に帰って来ない親を批判してきたが、逆に家で子どもの面倒を見ていることの何が悪いんだと思う。シングルマザーの貧困問題がよく取り上げられるが、実は行政の情報にリーチできず、給付にたどり着けていないケースも少なくない。その意味では、きちんと情報を調べ、可能な範囲で行政からお金をもらって暮らしているしぇす太さんに、批判されるべきところは何一つ無い。台本には“税金の恩恵を受ける人が増えていくと破綻して本当に必要な人の所に届かなくなるのではないか?”という、しぇす太さんへの質問案が書いてあるが、こういうことを言っているから、生活保護の申請がしにくくなる」と指摘していた。(『ABEMA Prime』より)