「誰もが生きやすい社会を」空き家も人生も“リノベーション” 住宅と仕事提供のビジネス
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 近年、問題となってきている「空き家」。総務省が2018年に実施した調査によると、約840万軒以上の空き家が存在するというデータも――。老朽化による倒壊や衛生上の不安などが懸念される中、あるビジネスが注目を集めている。

【映像】空き家×ホームレスのマッチング

「空いている家と、家が足りなくて困っている人をマッチングするようなことをやっています。日本は両方のことが社会問題になっていると思っていて、マッチングの仕組みを作ることによって解消させていくというようなことになっています」

 こう話すのは甲斐隆之さん(28)。彼が代表を努めるRenovate Japan(リノベートジャパン)では、住む人がいない「空き家問題」と住む場所が無い「ホームレス問題」という二つの社会問題の解決に取り組んでいる。

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 その仕組みはこうだ。リノベートジャパンが空き家となっている物件を購入もしくは借り上げ、スタッフが改修作業を行う。そして一部屋の改修が終わったら、その部屋に住む人を募集する。その人たちは“リノベーター”として部屋に住み込みながら改修作業の手伝いをすることで給料を得る。という仕組みで、空き家の再生を目指しながら住む場所が無い人に部屋と仕事を提供するというビジネスを行っている。

「住み込みのバイトとして、好きな時間に入りたいときに入ってもらうという形で入ってもらって、そこで収入を得てもらって、生活の立て直しを図ってもらうと。一緒に改修しながら、生活の立て直しの相談に乗ったりして、次のステップに踏み込むための支援をします」

 幼いころに父親を亡くし、遺族年金などのセーフティーネットに支えられ母子家庭で育ってきた甲斐さん。大学、社会人と貧困問題に数多く携わる中で、住む場所が無い人に対し一時的に提供される場所、いわゆるシェルターの問題に直面し、会社を立ち上げた。

「公共が今(シェルターを)作ったりはしているんですけれど、そこの質が低いというのは結構問題になったりしていて、我々としてはこう一軒一軒質が高いシェルターを作っていけたらいいなという風に思ってるんです。そう考えたときにリソースとして使えるものは無いかと思ったときに、日本は空き家が社会問題になっているじゃないかと思ってこの仕組みを思いつきました」

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 こうして、2020年に設立されたリノベートジャパン。現在までに3軒の改修に携わり、4人のリノベーターを雇用。改修された家はシェアハウスなどの賃貸物件として生まれ変わり、その家賃をもとに新たな家の改修作業を行っている。日々活動を行う中、リノベーターたちからは感謝の声が寄せられたという。

「『こういう場所があって本当に良かった』というのは、4人とも言ってくれています。自立というか、自分自身でゆっくり立ち上がれるような、それを周りが見守りながら一緒に動いてくれるような、そういう空間とか時間というのはやっぱり必要なんじゃないかなって実感している次第です」

 新たな人生のステップを踏み出すリノベーターたち。家と人生、二つのリノベーションを通じて甲斐さんが描く未来。それは、”誰もが生きやすい社会”の実現だという。

「やり方のコンセプト化みたいなところを狙っていて、家と仕事に困ってる人が生活を立て直す、空き家を立て直しながら生活を立て直すのは、日本各地の問題だと思ってるので、いろんなところでそれを広めて行けたらいいなと思います。リノベートは、家のリノベーションという意味もあるんですけど、作り変えるとか日本が抱えている社会問題というのを相乗効果で取り払って行くようなことができればいいなという風に思います」(『ABEMAヒルズ』より)

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