試合開始からひたすらぶん回し系のフック。猪突猛進ファイターの技術を“度外視”のファイトスタイルに現役ファイターの解説陣もお手上げ。「フックしか打たない。逆に解説が難しい」「もう技術のことは聞かないで」など苦笑いを浮かべたKO劇が反響を呼んでいる。
2月16日に新宿FACEで開催された「RISE FIGHT CLUB」。YU-YA(魁塾)と田上健太(フリー)の対戦は、ひたすらフックを振り続ける田上の豪打を被弾し続けたYU-YAが、レフェリーストップ後に足元をふらつかせながら首を左右に振り、立ち尽くす珍しいエンディングを迎えた。まさに解説者泣かせの展開に苦笑した解説陣からは「ただのケンカ」「技術は聞かないで」などのコメントも聞かれた。
試合前のフェイスオフ、顔を突き合わせて目がすでに飛んでいた両者。陸上自衛隊出身のYU-YAは“やるか、やられるか”のリスキーなファイトスタイルが信条。一方、前進してひたすら殴るだけが信条の田上との対戦だけに、噛み合わないはずはない。
試合開始から10秒、YU-YAの跳びヒザに田上が右のオーバーハンドを合わせて剛腕フックを振り抜くと、YU-YAは前のめりにダウン。ダメージが残るYU-YAに、田上の容赦ないパンチが降り注ぐ。ひたすら目の前の相手をブン殴る田上に対して、YU-YAはすでに“フルボッコ”状態だ。
ラウンド中盤、気持ちを奮い立たせYU-YAが右のストレートを一閃。効かされた田上だったが、それでも躊躇なく相手の懐に飛び込んでフックをぶん回すヒリヒリのシーソーゲームが展開される。
もはや戦略も何もない田上のスタイルに、ABEMAでゲスト解説を務めた松本芳道が「田上は大振りすぎるんで(笑)。ストレートとかジャブとか真っ直ぐ系入れたいですね」と、もう1人のゲストである中村寛も「フック以外打ってない(笑)。逆に解説が難しい」と苦笑いでうなづいた。
視聴者からも「もはや酔っ払いのオッサンの喧嘩」などの声が聞かれる中、ラウンド中盤、田上の左がついにYU-YAの顔面付近を直撃。2度目のダウンを奪い1ラウンドを終えた。
インターバル中にコメントを求められた中村は「もう技術のことは聞かないで欲しいですね(笑)。2人とも1ラウンドから決めにいってたので、技術云々じゃない」と苦笑いすると、松本も「ただのケンカです(笑)。当たったもの勝ち」と、現役ファイター2人がお手上げ状態の異常事態となった。
インターバル中、カットして出血がみられるYU-YAに対してドクターチェックが入るも「いける、まだいけるって!」と声を上げたYU-YA。2ラウンドに入るとヒザを多用しつつ反撃に出るが、田上の迷いのないスタイルによってラウンド中盤、左右のフックを連続被弾。YU-YAのダメージを懸念したレフェリーが割って入ってゴングを要求すると、YU-YAは足元をふらつかせ、まるで観念したかのようにクビを左右に振って「もう無理」という表情でTKO負けを喫した。
劇的な幕切れを受け、中村が「(田上は)アゴ引いてフックだけでしたね」と苦笑するなか、マイクをとった田上は満面の笑みで「殴り合い楽しかったんで…YA-MANと中村選手の殴り合いを見て、あれを見て殴り合いしたいと思わないとおかしいやろと思って…YA-MAN選手と殴り合いをやってみたい」と宣戦布告。マイクでは終始「殴り合いをしたい」を連呼していた。