「新時代過ぎない?」「え、どういうことですか?」。若手棋士の斬新な発想、深い研究は周囲の人々をも混乱の渦へと巻き込んだ。「第1回ABEMA師弟トーナメント」準決勝の第2試合、チーム深浦とチーム鈴木の対戦が2月26日に放送され、この第4局でチーム鈴木・梶浦宏孝七段(26)が後手番から、相手の雁木に対して、序盤から機敏な動きで仕掛けた。これに師匠の鈴木大介九段(47)、大盤解説の聞き手を務めた本田小百合女流三段(43)らが次々と驚きの声をあげることになった。
歴史ある将棋の世界も、新たな研究によって、まだまだ考えられないような指し回しが生まれている。今回は、近年の活躍が目覚ましい梶浦七段が、そんな一手を披露した。先手の深浦康市九段(50)が得意の雁木に進む中、スッと梶浦七段が突いたのが△3五歩という手。いきなりの突き捨てで、見守っていた関係者たちからは戸惑いの声が連発した。
師匠・鈴木九段は「へー、何これ。新時代過ぎない?研究なんだ、これ。すごい手を研究しているね」と舌を巻けば、解説の大橋貴洸六段(29)も「そういう手があるんですか」と感心。本田女流三段においては「え、どういうことですか?」と意味がわからないといった様子だった。また梶浦七段と同い年のチーム深浦・佐々木大地六段(26)は「なるほどねー、準備してきているね。受け方がわからない」と納得していた。
◆第1回ABEMA師弟トーナメント 日本将棋連盟会長・佐藤康光九段の着想から生まれた大会。8組の師弟が予選でA、Bの2リーグに分かれてトーナメントを実施。2勝すれば勝ち抜け、2敗すれば敗退の変則で、2連勝なら1位通過、2勝1敗が2位通過となり、本戦トーナメントに進出する。対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで、チームの対戦は予選、本戦通じて全て3本先取の5本勝負で行われる。第4局までは、どちらか一方の棋士が3局目を指すことはできない。
(ABEMA/将棋チャンネルより)