「私たちの独立を守っていますよ。(ウクライナとロシアの)双方が今必要なことが出来るなら平和に向かいます」
インタビューやSNSといった様々なメディアを使い、首都キエフから情報を発信し、国民を励ますウクライナのゼレンスキー大統領。アメリカがキエフからの脱出を打診すると、大統領は「戦いはここで起きている。必要なのは逃げる乗り物ではない」と拒絶するなど、強いリーダーシップでロシアと向き合う姿勢を示している。
【映像】コメディアンから大統領になったゼレンスキー氏はどんな人?
一方で注目されているのが、その経歴だ。大学で法律を学びながらコメディアンの道を志したのち、テレビ番組の制作会社を設立。俳優として番組に出演する中、一躍その名が注目されることになったのが“平凡な教師が突然大統領に選ばれるというストーリー”のテレビドラマだった。
ゼレンスキー氏はこの大ヒットしたドラマと同じ名前の政党を立ち上げると、2019年の大統領選挙への立候補を表明。腐敗政治と戦う素人政治家というドラマの筋書きを、現実にした。このとき、自らが大統領になった際には「クリミア半島を返還させ責任を追及する」と強気の発言をしていた。
「プーチン大統領に会ったら、私は彼にこう言うだろう。『よくぞ私たちウクライナの領土をようやく返してくれた。私たちの領土を奪ったことへの補償として、あなたはどれだけのお金を用意しているのか。そして、あなたは紛争の激化に加担した人々、クリミアやドンバスでひどく残酷でおぞましい道を歩んでいる彼らを支援した』と」
そして、大統領選は73%という圧倒的な得票率で勝利。ウクライナの第6代大統領に就任した。就任後は紛争解決に向けてプーチン大統領との対話路線を打ち出し、フランス・ドイツを交えた4者会談を3年ぶりに開催。停戦合意を成立させた。
しかし、親ロシア派支配地域の地位などをめぐって平行線をたどる……。高かった支持率は、汚職や紛争といった問題を解決できず低下。そんな中でのロシアの侵攻だった。国外逃亡の噂も流れる中、SNSで国民に訴え続けるゼレンスキー大統領。この姿に支持率は急上昇し、ウクライナの調査会社が実施した調査によると、91%がゼレンスキー大統領の行動を支持すると答えている。
コメディアンから大統領となったゼレンスキー氏。コメディアン時代の破天荒な動画がインターネットなどで回っているが、ウクライナでの評判はどうなのか。ニュース番組『ABEMAヒルズ』に出演したウクライナ出身の国際政治学者のグレンコ・アンドリー氏は、「もちろん賛否両論で、当時はメディアの力が強くて新しくクリーンな政治家に任せたほうがいいのではという空気が強くて、それらが合わさって彼の人気が爆上がりに繋がった」と説明。
こうした政治経験がない人が国を率いることが、今回の戦争を引き起こした側面はあるのか。アンドリー氏は「それは関係ないと思います」とこれを否定。「プロの政治家でも国を守るという姿勢は同じなので、プーチンの侵攻はそれで左右されたとは思いません。いずれにせよ侵略があったでしょう」と述べた。(『ABEMAヒルズ』より)
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