将棋の順位戦A級・最終9回戦が3月3日に行われ、糸谷哲郎八段(33)が斎藤慎太郎八段(28)に87手で勝利した。既に名人挑戦を決めていた斎藤八段だが、史上5人目となるA級全勝を目前に、最終局で敗北。一方、糸谷八段は今期の成績を6勝3敗とし、来期は「2位」という好位置から初の名人挑戦を目指すことになった。
【中継】順位戦 A級 9回戦 糸谷哲郎八段 対 斎藤慎太郎八段
先手の糸谷八段が得意の角換わりを選んで始まった一局は、序盤・中盤と互角に進み、夜戦に入ったところでは、斎藤八段がやや指しやすいかと見られていたが、終盤に差し掛かる駒のぶつかり合いのところで糸谷八段がすっと抜け出し、そこから優勢に。形勢が傾いたところからはパタパタと早く手が進み、一気に決着がついた。
糸谷八段は「始めはわからない形になってしまった。相手にゆだねる将棋になってしまったので、先手番としてはおもしろくなかった。ただ、だんだん堅くなったので戦える形かなと思いました」と振り返ると、今期については「負け方がよくないものが多かったので、来期はそれを減らせれば。挑戦争いに最後まで絡みたかったですが、力は及ばなかったです」と語った。
また、斎藤八段は「どこまで行ってもまとめにくくて、ちょっと作戦的にまずかった。途中から神経を使いすぎて、最後あっさり負けてしまう道を選んでしまった」と敗因を語ると、2期連続での名人挑戦を決めた今期については「リーグ戦の前半から中盤くらいまでは、集中して一局ずつやれていた。最後2局は集中力を欠いた内容だったので、リーグ戦は難しいですし、反省も多いところ。一応、挑戦という形にはなったのでよかったです」とコメントした。また名人戦七番勝負については「昨年課題を多く感じましたし、今日の将棋も途中で失敗してしまいましたので、そういうところを改善して一番いい状態で臨みたいです」と抱負を述べた。
(ABEMA/将棋チャンネルより)