将棋の順位戦A級・最終9回戦が3月3日に行われ、全10人が一斉に対局した。名人挑戦を決めている斎藤慎太郎八段(28)、29期続けていたA級からの陥落が決まっている羽生善治九段(51)がいずれも敗れる中、この最終一斉対局の異名となっている「将棋界で一番長い日」を、そのまま実現したのが豊島将之九段(31)と菅井竜也八段(29)の2人だ。千日手もあり、午前9時から始まった戦いは、指し直し局が終わったのが翌4日の午前3時18分で、休憩を挟み実に18時間18分という「長い日」になった。
【中継】順位戦 A級 9回戦 最終一斉対局~将棋界の一番長い日~
豊島九段は前局までに4勝4敗で本局に勝ち越しをかけ、菅井八段は3勝5敗で来期に向けて少しでも星を戻したいという一局だったが、豊島九段の先手番で始まると、菅井八段が角交換からの向かい飛車を採用。豊島九段は居飛車とし、対抗形で進んだ。お互いがっちりと穴熊に囲い合い持久戦になったが、終盤に入るところで盤面中央付近での主導権争いで両者が譲れなくなり、同一局面が4回出たことで午後10時42分に千日手が成立。30分間の休憩を入れて、午後11時12分から先後を入れ替えての指し直しとなった。
菅井八段の先手番にかわった一局は、菅井八段がゴキゲン中飛車、豊島九段が居飛車の対抗形に。中盤から終盤にかけては豊島九段がペースを握ったかに見えたが、激しい終盤になったところで菅井八段の穴熊の堅さと、豊島九段が上部に逃した玉のどちらが耐えるかという展開になった。一時は菅井八段の勝勢まで形勢は傾いたが、冷静に指し続ける豊島九段の粘りが功を奏し、両者1分将棋に入ってからついに逆転。その後も、時間がない中で確実に勝ちへと近づく手を重ねた豊島九段が、大熱戦にけりをつけた。
この戦いには、見守っていたファンからも「こんな激戦見られて幸せ」「両者すごいわ」「起きててよかった」と称える声が多数集まっていた。豊島九段は過去、叡王戦七番勝負で永瀬拓矢王座と4勝3敗・2持将棋、1千日手と、都合10局分指したことがある。また菅井八段も令和になって初の公式戦、2019年5月に木村一基九段(48)と317手にも及ぶ戦いを演じたことがある。
(ABEMA/将棋チャンネルより)