「母は何を見せてもフェイクだと…」プーチン政権“反体制派”メディアが次々と閉鎖 在日ロシア人の思い
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 ロシアのウクライナ侵攻が始まって約1週間、衝突が日に日に激しさを増す中、その矛先はロシア国内のメディアにも向かっている。

【映像】「彼ら(ウクライナ)がロシア系住民を弾圧していて不愉快」インタビューに答えるロシア国民(0:54)

 3日、ロシアの独立系テレビ局「ドシチ」が業務を停止。同局のシンデイェワCEOは「私は放送の再開を望んでいます。いつどのような形になるか分かりません」と述べた。批判的な世論調査を発表した同局は、ロシア当局から圧力を受けていた。

 その他にもロシア国内では「侵攻」「戦争」と表現したメディアが次々と閉鎖に追い込まれ、SNSもフェイクニュースを流しているとして閲覧規制が始まった。現在ロシア国内で得られる情報は、当局からの正式発表だけになりつつある。

 一体、ロシア国内で何が起こっているのか。ニュース番組『ABEMA Prime』では、日本で暮らすロシア人と共に議論を行った。

「母は何を見せてもフェイクだと…」プーチン政権“反体制派”メディアが次々と閉鎖 在日ロシア人の思い

 ネット掲示板『2ちゃんねる』創設者のひろゆき氏は「今ロシアのテレビでは『ウクライナと戦争をしている』という報道にはなっていないのか?」とゲストに質問。番組に出演した、ロシア国営メディア『スプートニク』の記者は「ロシアの国営テレビでは、戦争ではなく“特殊軍事作戦”という言葉を使っている」と話す。

「もちろん今起こっていることは報道されているが、その大元は国防省などのオフィシャルな情報源を右から左に流している構図。ロシアとしては、ウクライナの一般の家が燃えているといった情報は『ウクライナ当局によるもの』と説明している。例えば、Twitterで流れているような映像や画像をロシアのテレビ局が拾って放送することもあるが、それにつけるクレジットは、ロシアとウクライナで現状は正反対になっている」

 ロシア生まれで、現在は淡路島で日本人の夫と「ロシアンキッチンカー・イリーナ」を営む太田イリーナさんは「3人兄弟で私のほかに弟と妹がいる。弟や妹は私と同じ意見で、ネットを見ているから事実を分かっている」という。しかし、母親は「プーチン大統領を信じている」といい、「ネットのビデオとか写真はもちろん、何を見せても『フェイクだ』と言う。こちらからの情報は何も信じてもらえなくて、やはりテレビの番組を見ている」と状況を語る。

「母は何を見せてもフェイクだと…」プーチン政権“反体制派”メディアが次々と閉鎖 在日ロシア人の思い

 ロシアの独立系世論調査機関「レバダ・センター」が先月行った調査では、プーチン大統領の支持率は約69%と、昨年12月の前回調査から4ポイント上昇した。イリーナさんの感覚では、周囲のプーチン大統領支持率は「半々」で、「ただ、どこまで本当のことを言っているのか、何とも言えない。今はスターリン時代とは違うけれど、やはりみんな怖いのか、本当の考えをあまり言えない人も多い」と述べる。

 ひろゆき氏は「実際問題、2014年にロシアがクリミア半島を抑えたときは独立系の世論調査でも、8割くらいプーチン大統領を支持していた。なので、ロシアに住んでいるロシア人からすると『プーチン大統領は正しい』という認識が今でもあるのではないか。そこの乖離は埋まらないのか」と疑問を投げかける。

 これに、ロシア生まれ兵庫育ちのタレント・コラムニストの小原ブラスは「若者層と高齢層ではっきり違う」と回答。

「ソ連の崩壊を経験した層は、ロシアがものすごいどん底を味わった時代を経験している。その人たちは、ロシアの秩序が乱れることが何よりも恐ろしい。その秩序を正したのがプーチン大統領という認識を持っている。プーチンの大統領就任によって経済が回復した歴史があるからだ。現実にはプーチン大統領が回復させたわけではなく、たまたまそのタイミングで中国が発展して、ガスや石油の値段が上がったという背景がある。ロシアのメディアでプロパガンダが流れているのは、今だけではない。ずっと昔から流れ続けている中で、今まではそれを支持する層が圧倒的に多かった」

「しかし、だんだんSNSで『秩序が乱れることよりも、自由の方が大事なのではないか』と思う若者が増えてきた。2014年にクリミア半島を抑えたときは、ソ連時代はロシアの管轄だったのをフルシチョフ氏がウクライナに変えたという歴史があったから、まだ納得していた人も多かった。今回はそのレベルではない。ただ、クリミア半島に関しても、元々はロシアのものではなく、クリミア・タタール人のものだった」

「母は何を見せてもフェイクだと…」プーチン政権“反体制派”メディアが次々と閉鎖 在日ロシア人の思い

 小原によると、ここ数日で、ロシア政府に反体制的な主張をするメディアが何媒体も閉鎖されているという。ロシアの世論は今後どこに向かっていくのだろうか。前述の『スプートニク』記者は「本当に今は人の数だけ意見があるような状態だ」と話す。

「自分もこれまで、若い人はプーチン政権を批判している人が多くて、年配の人は逆に安定を求めていると考えていた。しかし、今回のことが大事になるにつれて、それぞれの考え方の違いが、どんどん浮き彫りになってきている。若い人でも『この軍事作戦を支持する』という人がいたり、その逆もある。とにかく、年代や民族、それまで受けてきた教育に関わらず、ものすごくいろいろな意見が出ている」

「私がすごく怖いのは『この国がバラバラになってしまうのではないか』という、得体のしれない不安、恐怖感だ。SNSでも誰かが立場を表明すると、必ずそれに対して友達の中で“賛成”と“反対”が出てきてしまう。そうすると、議論が始まって、とても嫌な感じになる。自分の意見はあるけれど、あえて何か燃料を投下しないように、雰囲気を自ら悪くしないように、気をつけている人もいる。だから、ロシア人が黙っていても、それは臆病だとか、意見を持っていないだとか、無関心ではない。周りの人たちを大事にしたいから、あえてそういうふうにしていて、平常心を装っているけど、その心の中でいろいろな感情が渦巻いている。そういうロシア人がたくさんいることを、日本人に知っていてもらいたい」

(『ABEMA Prime』より)

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