将棋界のレジェンド・羽生善治九段(51)の動向が注目されている。名人9期を含め、29期連続だった順位戦A級から、今期ついに陥落が決定。ルールのまま進めば、来期は30期ぶりにB級1組で指すことになる一方、過去にはA級からの陥落を機に、順位戦では指さないフリークラスへ転出したケースもある。3月3日に行われた順位戦A級、最終9回戦の対局後にも来期についての態度を明確にしなかったことで、新年度が近づくこのタイミングでも関係者、ファンの心は落ち着いていない。この状況に、将棋ファンで知られるアイドルグループSKE48のメンバー、鎌田菜月は「羽生先生が一番将棋が好きな状態でいてくれるのがいいと思います」とコメントした。
鎌田は将棋好きアイドルとして番組への出演歴もあり、また「プロ棋士カラー名鑑」の2019年版では表紙を飾るという“快挙”も成し遂げている。大活躍中の藤井聡太竜王(王位、叡王、王将、棋聖、19)と同じ愛知県出身ということもあり、さらに将棋への関心を深めている最中だが、その中で出てきた羽生九段のA級陥落という出来事は、将棋ファンの一人としても、いろいろと感じ、思うところがある。
29期連続でA級以上。タイトル99期、棋戦優勝45回、七冠独占、永世七冠という大記録と並んで、長く第一線で活躍してきたからこそ達成できた数字だ。「29期連続でA級に居続けたのがすごいことじゃないですか。羽生先生がいる将棋界の方が絶対におもしろいし、タイトル100期ももちろん期待しています。将棋を愛しているとずっと言っている方なので、将棋が好きなままで納得いく形で答えを出してくれたらと思います」と語った。
長い将棋史においても、今後も伝説の棋士として語り継がれるほどの存在だけに、順位戦に限らず身の振り方については、関係者の誰かがアドバイスをするようなレベルのものでもない。全ては本人の思い一つだ。これまでの永世名人については、「A級から陥落したら引退する」と明言していた大山康晴十五世名人はA級棋士のまま最期を迎えた。また中原誠十六世名人(74)はB級1組でも2期指したが、その後にフリークラスに転出。十七世名人・谷川浩司九段(59)は現在B級2組で指し続けるが、十八世名人・森内俊之九段(51)は陥落後にフリークラスを選んだ。
ファンにとっても、見守るほかないという意味では同じだが、より羽生九段の気持ちを思いやるほど、本人の納得のいく形を選んでほしいという気持ちが募る。「来期に粘ってほしいという気持ちもあるし、フリークラスに転出された方もいる。いろいろな形はあると思いますが、羽生先生という存在が将棋を広めてくれるということに、とても意義があります。もちろん負けたら悔しいと思うし、粘って粘って現役を引退される方もいると思うんですが、羽生先生が一番将棋が好きな状態でいてくれると嬉しいです」。タイトル100期、通算1500勝など大きな記録も残す中、一つの節目を迎えた羽生九段。鎌田を含め、ファンが待つのは対局では盤へと凛々しく向かい、盤を離れれば笑顔で将棋を語る、そんな姿だ。
(ABEMA/将棋チャンネルより)