自らの鼻血を手で拭って対戦相手に投げつける狂気の闘争心。体格でひと回り勝る一階級上の相手を腕十字で極め、タオル投入の劇的結末を披露した19歳ファイターに対して、視聴者から「セオリーの上を行く」「化け物だ」など、驚きの反響が広がっている。
3月21日に後楽園ホールで開催されたプロフェッショナル修斗公式戦「PROFESSIONAL SHOOTO 2022 Vol.2」で、西川大和(西川道場)と山田崇太郎(THE PANDEMONIUM)が対戦。現・修斗世界ライト級王者の西川が、一階級上でウェルター級3位の山田に挑み、3ラウンドに腕ひしぎ逆十字固めで圧巻の一本勝ち。ABEMAの実況席にいたレジェンド・宇野薫も「山田選手が取られるとは考え難い」とそのポテンシャルの高さに舌を巻いた。
MMA、立ち技の大会と場を選ばず結果を残してきた西川。2020年に修斗に参戦すると連勝を重ねて昨年9月には早々と修斗世界ライト級を戴冠した。対する山田はウェルター級屈指のグラップラー。一階級上、ひとまわり大きい相手への挑戦に視聴者も「西川さすがにきつくないか?」「体格差があるだろ…」と今回こそ“西川危うし”との声が少なくなかった。
そんな下馬票どおり、1ラウンド開始早々、山田はテイクダウンに成功。パウンドを落としスタンドでフロントチョークから引き込むなど終始優位に試合を進めていく。しかし、西川も下から強い打撃を見せるなど、一筋縄ではいかない。
序盤を圧倒した山田だが、1ラウンドの攻防を経て消耗がうかがえる。すると、2ラウンド開始とともにテイクダウンに成功するが、西川の蹴り上げなどに手を焼く場面が目立ち始める。クローズドガードの場面も、西川が下から簡単にポジションを逆転。上になると強烈なパウンドを打ち下ろし、山田の顔面を鉄槌で削って行く。西川は下から足関節を狙う山田に「おい極めてみろよ!」と挑発、一方、ぐったりと左の頬も腫れた山田。2ラウンド終了時には、すっかり攻守逆転という印象だ。
最終3ラウンドになるとすっかり立場は逆転。スタンドの打ち合いから山田の上を取る西川は、打ち合いでの被弾で大量の鼻血も。しかし、全く意に返さず鉄槌、膝を落とし、動きの鈍った相手のバックを取りスリーパー。山田は組みの場面も力弱く倒しきれず、体力はエンプティーに近い。
さらに西川の狂気を感じさせる場面は続く。立ち上がり、自らの手で大量の鼻血を拭うと、あろうことか山田の顔面目掛けて血しぶきを投げつける。これには試合を中継したABEMAの視聴者も「血を投げるな」「血しぶき攻撃」「鼻血投げるな」など即座に反応。その後も西川は、相手に何やら荒々しい言葉を投げかけながら上から殴り続ける。
残り2分、サイドポジションから山田の左腕を取りアームロック狙い。体力が消耗しているとはいえ国内屈指のグラップラーを圧倒し始める西川。解説席の宇野薫も「山田選手が取られるとは考え難い」とにわかに信じられない光景に言葉を漏らすが、エグいヒジ、パウンド連打で最後の仕上げに入っていく。
最後は虫の息の山田を削り、左腕を取って鮮やかな腕ひしぎ腕十字。グリグリと締め上げる様子に山田陣営が危険と判断してタオルを投入。と同時に、山田も無念のタップとなった。
階級差を全く感じさせずに難敵を相手のフィールドの寝業で仕留めた西川にファンは「セオリーの上を行く」「化け物だ」と唖然。敗戦を予想していたのか視聴者数人が相次いで「西川選手疑ってごめんなさい、本物でした」など、謝罪のコメントまで寄せられていた。