未成年の下着や制服を販売、後に摘発される店舗も現れるなど、1990年代に社会問題化した「ブルセラショップ」。いま再び、SNSやフリマサービス・アプリを通じて、身に付けたものを軽い気持ちで売りに出す若い女性たちも現れている。
【映像】カンニング竹山が“買い手”の男性に疑問をぶつける(19分ごろ〜)
■「バイトで言えば高時給。売れたらラッキー」
都内の大学に通うゆう子さん(20)の場合、コロナ禍でアルバイト収入が減ったため、Twitterで下着を売り、生活費の足しにするようになった。「ハッシュタグで“下着”と入れると、“売ります”という言葉がサジェストされる。出てきたアカウントやハッシュタグを参考に投稿した。どうせゴミになるものだし、売れるんだったら売りたいなって感じで…」。
昨年の秋からは、新たな“商品”が加わった。自身が使用したマスクだ。ある日、「下着と一緒にマスクも売ってくれませんか」とのリクエストがあったのだという。当初は新型コロナウイルスの感染リスクが気になり抵抗もあったというが、今は「売れたらラッキー」という感覚だと話す。1枚1000円で、月に5000円程度の売上がある。
「ツイートすると数十件の問い合わせがDMで来るので、スケジュールの合う人と待ち合わせをして手渡しをしている。“ちゃんと着けているのを渡してますよ感”があって嬉しいのかなと、その場でビニール袋に入れて。今日はバイト中に着けていたもので、うっすら化粧が付いているんですけど、濃く着いていると喜ばれたりします」。
フリマサービス・アプリではなく“手渡し“という方法を選んだのは、住所がバレることを恐れたため。しかし、その場で唾液を垂らすことを求められたり、別の場所に誘われたりすることもあるという。
「唾液フェチなんで、垂らしてもらっても良いですか?って言われて。"その場でだったらいいですよ"と、垂らした。ただ、受け渡しは必ず人目の多いところにするようにしている。でも、違うところに移動してゆっくりお話したいですってことで付いていったら、ホテル街みたいなところに行くような感じだったので怖くなって逃げてきた。それからは誘われても絶対に行かないと決めている」。
“熱心にやっているわけではない”と話すゆう子さんだが、やはり手軽さには抗えないようだ。「今も飲食店で働いてるんですけど、やっぱりマスク1枚で時給1時間分くらいになるのは高時給だし、手軽さは大きい。身体を売るのは違うなと思っているが、一日付けたものを外すだけだしなと…」。
番組が調べたところ、Twitter上には、ゆう子さんよりも若い、中高生と思しきアカウントも見つかった。
■「どんどん参入してくる人が増えている」
ゆう子さんが“リスク”と感じたフリマサービス・アプリだが、“裏技”的なテクニックを使って身につけていたものを売っている女性もいる。
ちさとさん(30代)は、30枚、つまり1カ月分のマスクを、メルカリを通じて3000円で販売している。「数枚買ってくださった方が、気に入ったので1カ月分、まとめて買いたいということで。溜まったらお売りしますという形にして」。
当初はやはり抵抗感もあったというが、自分が使ったモノを求められることを嬉しいと感じるようになり、今では下着を上下セット1500円程度で出品している。
メルカリでは使用済みマスクや下着の出品は禁止されており、事務局の判断で商品の削除や、利用制限などの措置が取られることになっているが、ちさとさんは「メンズTシャツ」など、別の品物として出品、買い手とのやりとりの中で購入を促していると明かす。
そんなちさとさんが気になっているのは、“売り値”の低下だ。「どんどん参入してくる人が増えて、安くなる一方ですね。OLよりも学生の方が売れてますし、若さって大事なんだな、価値があるんだろうなって」。
あくまでも性的嗜好の問題、あるいは売る側、買う側の倫理観の問題なのだろうか。スタジオでは、使用済マスクに劣情を催すという買い手の男性への嫌悪感や、ゆう子さんら売り手の女性の倫理観に疑問を抱く声が相次いだ。また、犯罪に巻き込まれるリスクを懸念する意見も出された。
しかし東京都や大阪府などの自治体において青少年育成条例で使用済みの下着等の販売を規制しているケースはあるものの、使用済マスクの販売そのものを明確に規制する法令は無いのが現実だ。アトム法律事務所の高橋裕樹弁護士も、“見せしめ”として古物営業法違反の容疑で逮捕されるケースが出てくる可能性がある、という程度だと話す。
また、 株式会社メルカリの「マーケットプレイスのあり方に関するアドバイザリーボード」の外部有識者でもあるウツワ代表のハヤカワ五味氏は「フリマサービス・アプリは、“匿名配送”もできるので、それを目当てに利用している人もいるのだろう。“〜さん専用”のような形で売買する独自の文化もあるが、そうした使い方については運営としては推奨してない。ただ、そうした監視の目をかいくぐるために、他の人が注文しないような商品名や画像、金額で出品するようなケースもある。私もアドバイザリーボードの会議の場で俎上に載せたいとは思っているが、ルールを決めるのは難しい」と話していた。(『ABEMA Prime』より)
■Pick Up
・「ABEMA NEWSチャンネル」がアジアで評価された理由
・ネットニュース界で話題「ABEMA NEWSチャンネル」番組制作の裏側