「未成年者取消権」の対象外に、お酒やタバコは引き続きNG 4月1日から成人年齢「18歳」に引き下げ、気をつけることは
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 あす4月1日から成人年齢が18歳に引き下げられ、その時点での18、19歳が一気に成人、つまり“大人”になる。

【映像】18歳から“成人”に 変わること、気をつけるべきこと

 約140年ぶりとなる成人年齢の見直しで、何が変わるのか。また、どのようなことに気をつけなければならないのか。テレビ朝日経済部で消費者庁の取材などを担当する本田紗衣記者が解説する。

Q.そもそも“成人”とは?
 4月1日から、民法の改正によって成人年齢が20歳から18歳に引き下げられる。成人というのは、法的に単独で法律行為が行えるようになる年齢のこと。4月1日からはその時点の18歳と19歳が一気に成人になる。

 今日話したいのは、この引き下げによって18歳19歳が被害を受けないためにどうすればいいのかということ。ただ、時代が変わっているので、保護者の方たちにも参考にしてほしい。

Q.成人年齢が「18歳」となることで何が変わる?
 今まで親の同意が必要だったものが、自分で契約できるようになる。例えば、携帯電話を契約する、一人暮らしの部屋を借りる、クレジットカードを作る、ローンを組むことなどができる。結婚に関しては、女性の年齢が16歳から18歳に引き上げられ、男女ともに18歳になれば保護者の同意なしに婚姻関係を結ぶことができる。

「未成年者取消権」の対象外に、お酒やタバコは引き続きNG 4月1日から成人年齢「18歳」に引き下げ、気をつけることは
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 一方で、お酒を飲む、タバコを吸う、競馬・競輪などのギャンブルは、これまでどおり20歳にならないとできない。これは青少年保護の観点から変わっていない。

Q.できることが増える上で気をつけることは?
 携帯電話の契約ができたりクレジットカードを作れたりするとお伝えしたが、成人になって自分でさまざまな契約ができるようになるということが注意点。

 これまで、20歳以下は民法で定められた「未成年者取消権」を持っていた。これは、未成年者が親の同意を得ずに契約した場合には、原則として契約を取り消すことができる権利のこと。これが今回、成人年齢が引き下げられることで18歳以上が対象外になる。

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 全国の消費生活センターに寄せられたここ5年間の相談件数のグラフを見ると、20~24歳の平均値は、18~19歳の平均値よりも2倍近く多くなっている。18~19歳の若い人のほうが狙われそうなイメージだと思うが、例えば悪質な業者が18~19歳に契約をさせたとしても、先ほどの未成年者取消権があるためキャンセルすることができた。なので、狙うのであれば20歳以上を対象にしていたと言えるかもしれない。成人年齢引き下げで18歳から未成年者取消権がなくなるため、この春に成人となる18歳と19歳の人が狙われてしまう可能性がある。

Q.想定される事例は?
 消費者庁や国民生活センターは、18歳から成人となることを受けて、「こういうことが起こるかもしれない」と注意喚起をしている。次にあげるのは、成人になったばかりの20代の人から実際に相談があった事例になる。

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【タレント詐欺】
 芸能事務所と称して「確実にテレビ番組に出られる」と勧誘され、入会金5万円と月3万円はかかるが、「仕事は紹介する」と言われて契約した。しかし、番組出演の話は一切されず、あるといわれていたレッスンもなかった。

【借金の推奨】
 絶対に儲かるというFXの自動売買システムを大学の先輩に紹介され、「みんな学生ローンしている」「学生ローンを組んでこのシステムを買えば、最終的には儲かる」と言われた。全部で50万円も振り込んだが、一向に儲からなかった。

【美容】
 SNS広告には「10万円で全身脱毛ができる」との記載。実際にクリニックに行くと、「光じゃなくてレーザーのほうが良い。本来は70万円だけど、60万円に割り引く」と勧められて契約してしまい、高額だったと後悔した。

 共通して言えるのは、「今日決めれば安くしますよ」などと言われても、その場で契約しないようにする。なおかつ、FX投資のようにうまい話なんかないんだということ。そして、自分に今必要がないと思ったら「断る」力が大切になる。

 さらに、国会でも問題になったのが、アダルトビデオへの出演契約。これまでは出演契約を交わしてしまっても未成年者は未成年者取消権で取り消しが可能だった。しかし、今後は保護の対象から外れてしまうので、高校生など若年層のアダルトビデオへの出演強要などの被害が増えるのではないかと懸念されている。

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Q.では、困った時はどうすればいい?
 何か契約してしまった時、消費者トラブルは「消費者ホットライン(188(いやや))」に電話をしてほしい。法的なトラブルがあったら「法テラス(0570-078374(おなやみなし))」でも相談を受け付けてくれる。さらに、4月1日から3日までの3日間は、集中的に受け付ける「消費者ホットライン18+(03-6450-6631、06-4790-8110)」もあるそうで、「悩みごとがあったらいつでもここに電話してください」と担当者も言っていた。

ABEMA/『アベマ倍速ニュース』より)

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