将棋の王座戦二次予選が3月31日に行われ、羽生善治九段(51)は高野智史六段(28)に敗れ、挑戦者決定トーナメント進出を逃した。本局が2021年度の最終局だったが、羽生九段は38局で14勝24敗、勝率.368と大苦戦。プロ入り以来、初の勝率5割切りとなった。なお、順位戦では来期、30期ぶりにB級1組で指すことを明言し「開幕までにコンディションを整えて迎えられたらいい」と語った。
苦しい戦いが続く2021年度は、最後まで苦しかった。過去1勝0敗の高野六段との一局は、後手番から約2年ぶりとなる三間飛車を採用。直近10局で2勝8敗と黒星が続いていたところをなんとか打開しにいったが、中盤からじりじりと差をつけられると、飛車をうまく捌き切れないまま終盤に突入。さらにリードを奪われ、投了した。これで公式戦6連敗という不振のまま今年度が終了。年度勝率は初の5割切りどころか、4割にも届かない厳しいものになった。
ただ、ファンにとってはホッとした情報もあった。今期は、順位戦A級で2勝7敗、10人中9番手に終わり、名人9期を含めて29期続けてきたA級から陥落、来期からフリークラスに転出するかという見方もあった中、来期は30期ぶりにB級1組で指すことになった。羽生九段が「昇級」を目指すという戦いを見たことがないファンも多いほどで、これが苦戦の続いたレジェンドにとっての起爆剤になるという期待もある。1期で復帰が叶えば、入れ替わるようにA級に上がった藤井聡太竜王(王位、叡王、王将、棋聖、19)との対戦、さらには名人戦でぶつかるというようなゴールデンカードへの期待も膨らむ。
タイトル99期、棋戦優勝45回、七冠独占に永世七冠。数々の大記録を打ち立ててきた羽生九段が今後、どんな復活劇を演じるか。
(ABEMA/将棋チャンネルより)