真っ直ぐな性格と同様に、たとえまたくじではずれるとしても自分の希望を押し通す。斎藤慎太郎八段(28)が、プロ将棋界の早指し団体戦「第5回ABEMAトーナメント」のドラフト会議に、2度目のリーダーとして参加する。昨年は木村一基九段(48)と指名が連続でかぶり、いずれも抽選負け。ある意味ではドラフトのおもしろさを十分に味わったが、今回の指名に関して「実績のある方から取りに行きます」と、まるでひるまない。「西の王子」とも呼ばれる人気棋士の両脇を固める親衛隊は、どんな顔触れになるか。
昨年のドラフトでは数十というパターンを考えて臨んだという斎藤八段。結果的には2度の抽選負けがあったにも関わらず、頼もしいパートナーを選び予選突破を果たした。「実力を出し切りました。組んだ3人でも話しましたが、精一杯やって充実していました」と、すがすがしい戦いぶりだった。チーム動画では、普段は見せない様子もたっぷり公開され「反響ですか。怖くて見てないです(笑)。聞こえてくるのは、新しい一面が見られたというもので、私自身は恥ずかしいところもありましたが、喜んでいただける企画を用意していただきました」と照れた。
もともと粘りには定評がある棋風だが、団体戦ともなるとさらにパワーアップする。「粘る姿を見せて後の方に託すというか、そういう意味もありますね。フィッシャールールなので本当に終盤でも大逆転が起こり得るので、諦めないことはすごく大事です」と、残り数秒の逆転劇を生む要素は揃っている。
気になるドラフトの指名候補だが、本筋で行く。「棋士なので読み合って重複を避けることもあると思いますが、私はやっぱり一番取りたい方を狙います。はずれることもありますが、その時はその時でプランは何個か用意してきました。順調に取れれば優勝を目指すチームになりますし、全員取られちゃったら若手を鍛えるチームにするとか、第2のプランも検討中です」と、準備にも抜かりはない。
2年連続の重複、抽選くじになるのは覚悟の上。ただやはりそこは性格か、奇襲・奇策は選ばない。「真剣に向かっていく姿がABEMAトーナメントの基本ですし、そこが熱い勝負を生んでいる。本戦でフルセットになった時は、普段以上にエキサイトしました。どんなチームになっても優勝を目指しますし、真っ直ぐ3人で真剣に戦う姿を見せたいです」。公式戦同様に熱い思いを持って戦うからこそ、不意に見せる素の様子、笑顔に、またファンたちが悶絶する。
◆第5回ABEMAトーナメント 第1、2回は個人戦、第3回からは3人1組の団体戦として開催。ドラフト会議で14人のリーダー棋士が2人ずつ指名。残り1チームは、指名を漏れた棋士がトーナメントを実施、上位3人がチームとなり全15チームで戦う。対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。チームの対戦は予選リーグ、本戦トーナメント通じて5本先取の9本勝負。予選は3チームずつ5リーグに分かれて実施。上位2チーム、計10チームが本戦トーナメントに進む。優勝賞金は1000万円。
(ABEMA/将棋チャンネルより)