51歳のレジェンド棋士を、令和の天才棋士が抽選の末に引き当てる。こんな「神展開」に、将棋大好きアイドルも大興奮だ。早指し団体戦「第5回ABEMAトーナメント」のドラフト会議が4月2日に放送され、優勝候補の筆頭・藤井聡太竜王(王位、叡王、王将、棋聖、19)は、1巡目に十八世名人・森内俊之九段(51)を指名、3人重複の抽選で当たりくじを引いた。これにSKE48鎌田菜月は「森内先生、大人気じゃないですか!羽生世代の方を選んだ藤井先生も、なんだか『将棋少年』っていう感じですよね」と大喜び。さらに、2巡目には同じ藤井姓の先輩、藤井猛九段(51)を指名し「ダブル藤井」まで作り上げる盛りだくさんのチームを歓迎した。
今年7月に20歳を迎える藤井竜王の勤勉さとエンタメ性が同居するような指名だった。森内九段、藤井九段、いずれも将棋界のスーパーレジェンド羽生善治九段(51)と同世代の、通称「羽生世代」。長く将棋界をリードしてきた屈強の棋士たちだ。藤井竜王によれば「鍛えが違う」という実力者で、鎌田もこの指名には「勝負強さとか、秒読みに追い込まれた時の底力に期待をされてのことなのかなと思います」と納得した。
またファン心理としては、藤井竜王と藤井九段、2人が揃うことにも意味がある。「ダブル藤井が、お互いをどうお呼びになるのかから、もう気になりますよね。どちらも藤井先生なのか、藤井君と藤井さんなのか(笑)。藤井猛先生も『初代藤井竜王』とか、ちょっとネタにしているところもありますよね」と、両藤井の掛け合いは想像しただけでおもしろい。
森内九段は若手有利と言われる超早指しにおいて、豊富な経験をもとに迷いない指し手で活躍。それが今回の3人重複という指名にもつながった。また藤井九段は、女流ABEMAトーナメントで監督こそ務めたが、持ち時間5分・1手指すごとに5秒加算というこの大会には初参加。「藤井システム」をフル活用して戦うことも予想され、それを見守る藤井竜王と森内九段、という様子もまた興味深い。
出揃った顔触れを見て、とにかく気になったのが豊島将之九段(31)のチームだ。抽選を2回連続で外し、丸山忠久九段(51)と深浦康市九段(50)という50代の先輩を指名した。1巡目で、藤井竜王と同じく森内九段を指名したところは「人気になることがわかって取りに行って、外れてしまったっていうことですよね」と理解したが、豊島九段が丸山九段、深浦九段とどんな会話を繰り広げるか、想像がつかない。「ここ、何をしゃべるんですかね?(笑)。この3人でどんな企画をするのか考えたんですけど、各々の方向性が違いすぎて。プライベートでもおしゃべりされているイメージもなくて、将棋が共通点という感じ。不思議なチームだなと思います」。心優しい3人が集まっているだけに、自然と仲良くなるだろうが、確かにそのプロセスも楽しみだ。
今回のドラフト会議は、相手の指名候補を狙いに行ったり、話題を生みにいったりと、リーダー棋士たちがそれぞれ狙いを持っていたことが明確にわかった。本大会に入っても、戦いやチーム動画でオリジナリティが生まれてくるはずだ。なお鎌田のお気に入り動画は、第3回大会で羽生九段ら3人が、うさぎカフェでどうぶつしょうぎを楽しんだという、ほっこりしたもの。「私の中で、あれを超えるものがなかなかないんです(笑)。体を張るのが大変なのは私もわかっているので、先生たちも楽しいものがいいですね。できれば個人的には都内にある『はりねずみカフェ』に行って、はりねずみにシャーッ!ってやられる先生の様子を見てみたいです(笑)」。鎌田の予想を超えるシーンは生まれるのか。
◆第5回ABEMAトーナメント 第1、2回は個人戦、第3回からは3人1組の団体戦として開催。ドラフト会議で14人のリーダー棋士が2人ずつ指名。残り1チームは、指名を漏れた棋士がトーナメントを実施、上位3人がチームとなり全15チームで戦う。対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。チームの対戦は予選リーグ、本戦トーナメント通じて5本先取の9本勝負。予選は3チームずつ5リーグに分かれて実施。上位2チーム、計10チームが本戦トーナメントに進む。優勝賞金は1000万円。
(ABEMA/将棋チャンネルより)