公式戦で強い棋士なら、超早指しでも強いはず。プロ将棋界の早指し団体戦「第5回ABEMAトーナメント」のドラフト会議が4月2日に放送され、三浦弘行九段(48)は、過去の2大会とは異なる若手2人を指名した。昨年、チーム藤井で優勝したメンバーである伊藤匠五段(19)と、チーム木村で準優勝した池永天志五段(28)。この大会でも実績ある若手だが、何より公式戦でも活躍している。「フィッシャーだけ強くて、公式戦が強くないということはない。公式戦で調子がいい方が、フィッシャーの手の見え方もいい」と、わかりやすく勢いのある若手を選ぶことにしたという。
団体戦となった第3回大会そして翌年の第4回大会は、高野智史六段(28)と本田奎五段(24)を指名し、2年続けて戦った。メンバーを変える場合、1人残して1人外すとなると、いろいろ気を使ってしまうと、今年はガラリと入れ替えることにしたという。伊藤五段は昨年、チーム藤井に加わり優勝を果たしたが、第3回大会の時にはチーム三浦の練習パートナーを務めてもらった縁がある。「今回、出場させていただくと決まった時、最初に頭に浮かびました。競合も覚悟していました」と、2021年度の公式戦では55局で45勝10敗、勝率.818で全棋士トップとなった若手期待の星を、2年越しにゲットした。
2巡目は、出口若武六段(26)を指名したが、重複による抽選で敗れた。気を取り直して指名したのは、昨年準優勝メンバーの池永五段。手元にあった資料で、勝率が高い棋士を上から確認していったところ、池永五段の名前が目に入った。昨年度の勝率.681と結果を出していた棋士を、もう一人仲間に引き入れた。
勉強熱心な三浦九段。自身3年目の新チームでも、きっと大会に向けて研究を重ねるはずだ。「ベテランの方と指しても、これだけの将棋を指せるのかと思い知らされることもある。必ずしも年齢が高いからといって、それを言い訳にしてはいけないんだなと思いました」と、まだまだ自分もやれることを見せつけたい。若手との刺激的な時間を、リーダー本人が一番楽しみにしている。
◆第5回ABEMAトーナメント 第1、2回は個人戦、第3回からは3人1組の団体戦として開催。ドラフト会議で14人のリーダー棋士が2人ずつ指名。残り1チームは、指名を漏れた棋士がトーナメントを実施、上位3人がチームとなり全15チームで戦う。対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。チームの対戦は予選リーグ、本戦トーナメント通じて5本先取の9本勝負。予選は3チームずつ5リーグに分かれて実施。上位2チーム、計10チームが本戦トーナメントに進む。優勝賞金は1000万円。
(ABEMA/将棋チャンネルより)