「空襲警報が鳴っても避難しない状況も」 一見“日常”が戻るウクライナ西部・リビウ、記者が伝える現状
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 ウクライナ西部・リビウ市内の産科病院では、ロシアの侵攻以降、ウクライナ南東部のマリウポリなどから避難してきた約350人の妊婦が出産した。病院の地下室に臨時のシェルターを作ったが、衛生環境は劣悪で、すぐに新たなものを作る必要があるという。

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 また、空爆などのストレスで、死産や流産をするケースに加え、通常の約2倍の妊婦が早産しているということだ。

 リビウの現状について、テレビ朝日社会部の松本健吾記者が現地から伝える(現地時間13日13時時点の状況)。

Q.リビウの現在の街の様子は?
 今いるのはリビウの市庁舎前で、街中には多くの人が行き交っている。レストランやパブ、コーヒーショップなどは通常どおりの営業を始めていて、レストランによっては行列もできていた。また、リビウの近くからは観光客も少しずつ戻ってきているようで、歴史的建造物の前でガイダンスを受けている様子を目にすることもあった。

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 一方で、ウクライナが今も厳しい状況にあることを再確認する場面もある。リビウ市庁舎の入り口には土のうが積み上げられていたり、市庁舎の周囲を覆う形でバリケードも設置されている。近くにある噴水も、空襲などで被害を受けないようにするために金属で覆われている。リビウの一部は、歴史的建造物もあることから世界遺産に登録されているが、教会のステンドグラスを保護するため、噴水同様に金属で保護されている。

 リビウの中心部では非常に多くの人が行き交っているが、ここから3km離れた駅には、今もウクライナ東部や中部から多くの人が避難してきている。リビウは人口70万人の都市だが、そこに20万人の避難民が来ている。この場にいると日常が戻ってきている印象を受ける一方で、非常に厳しい状況が国内では続いている。

Q.リビウにいて危険を感じることは?
 5日前にリビウに来たが、その間に4回、空襲警報が鳴った。ただ、リビウ州内にミサイルなどが着弾したといった情報は入っていない。街中には至る所に地下シェルターが用意されているが、空襲警報に対して、人々は避難せずに通常どおり生活しているという状況もある。

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Q.リビウに避難してきた人たちは、どのように情報を手に入れている?
 多くの人はSNSなどで情報を収集している。ウクライナ政府の広報官などは積極的に状況を説明している。キーウ周辺が奪還された話などは伝えられているが、多くの人の関心があるのが東部の状況。東部はこれからロシア軍が厳しい攻撃をするのではないか、と伝えられている。親戚や友人が東部に住んでいる人も多くいて、自分事として戦況を日々確認している状況が続いている。

Q.一見、安全に見えるリビウだが、自宅に帰る人も?
 避難生活の長期化は、やはり金銭的な負担を避難民に強いている。話を聞いたところ、一時的な滞在で宿泊施設に入っているが、その費用が負担になっていると。そういった人は、自宅へ帰りたいと話していた。金銭的な負担というのは、ウクライナ国内だけでなく、ポーランドに避難した人、モルドバに避難した人など、避難民すべてが抱えている問題だと思う。

 リビウからキーウまでは車で約9時間かかる。ただ、キーウの西部近郊にはブチャなど、ロシア軍が一時期占領していた地域がある。そういった地域には今も不発弾などが残されていて、ウクライナ軍の高官は「今すぐにキーウ近郊に戻ることはやめてほしい」と呼びかけている。しかし、金銭的な要因などから、帰りたいという人の姿は絶えない。

Q. 空爆などのストレスで、通常の約2倍の妊婦が早産しているということだが。
 実際に産科を取材して、医師の方に話を聞いた。私も子どもが生まれたばかりなので共感するのは、衛生環境が大事だということ。病院地下のシェルターを取材したが、そこはもともと配管などがある場所で、土埃が舞っていたりと衛生環境はまったく整っていない。そこに保育器や分娩台など万が一に備えたものを準備しているのが、私自身も衝撃的だったし、状況が少しでも改善されてほしいと思った。

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 ただ、そのためには資金が必要。現在、その病院では西部や中部から避難してきた人の分娩費用はもらってないという。一方で、病院の経営を圧迫しているとも話していた。きちんとした分娩施設のある防空壕を作りたいが、その資金が捻出できずに滞っているという。

 戦闘が長期化していて、避難民の方に話を聞くと、やはり精神的に追い込まれている。侵攻からもうそろそろ2カ月、こういった緊張状態が続いていることで、メンタルに少しずつ影響が出ていると感じている。一刻も早く状況が解消して、平和なウクライナが戻ってほしい。

ABEMA/『アベマ倍速ニュース』より)

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