春の訪れとともに始まった新年度。高校や大学に入学するなど、4月から新たな学校生活を迎える人も多いはず。そんな新生活ではじめる人が多いのが「アルバイト」。だが、選ぶ際には注意が必要だ。
「学生であることを尊重しないアルバイトのことを、『ブラックバイト』というふうに呼んでいます」
そう話すのは若者の労働・貧困問題に取り組むNPO法人POSSEの事務局長・渡辺 寛人さん。学生の本分を無視した働き方を求める「ブラックバイト」が横行しているというのだ。
「過度な責任を押し付けてくるようなバイト先で、例えば『試験勉強したくてバイト休みたい』といっても休ませてくれずに試験勉強がなかなかできず、単位を落としてしまったりとか、場合によっては留年してしまうというようなことが起きてくる。そういうことがすごくここ数年広がっている」
2014年から学生アルバイトの相談をうけているPOSSE。責任感から断りづらくなるような状況に追い込み、シフトに無理矢理入れられたり、逆に約束したシフトに入れてくれないなどの相談が、毎月50~100件もきているという。
さらにはこんな事例も……。
「飲食店のケースだと学生アルバイトが、4カ月休みなしでずっとアルバイトさせられてしまうという相談がありました。それで、本人も『これはもう無理だ』と思って(バイト先に)やめたいと訴えましたが、『辞めたら履歴書に残るから正社員になれなくなるぞ』という脅しを受けたりとか。『お前のミスのせいで、あの会社に損害が出てるか損害賠償請求するぞ』みたいなことを言って脅されて、それでやめられなくて、4カ月ずっと働き続けると」
飲食の他にも、塾や小売などでもブラックバイトの相談が多いという。その共通点は「現場に正社員が少ないということ」。その構造的な問題点があるためにアルバイト依存が起きてしまっていると渡辺さんは指摘する。
「正社員がほとんどいないです。つまりアルバイト依存になってしまっているという業界的な問題があって、そういう構図の中でアルバイトにこう過度な責任を追ってもらわないとお店が回せないという構造的な状況が作られてしまっている」
さらにコロナ禍で人を減らした飲食店では、店に残り働いている人の負担が増えるなど、ブラックバイトが一層深刻化しているのだ。新年度を迎え、これからアルバイトをはじめる学生たちが、ブラックバイトに巻き込まれないためには、「労働条件」をしっかり確認することが必要だと渡辺さんは話す。
「労働条件通知書という形で、こういう条件で働いてくださいと、賃金とか休憩時間とか働くお店、どういう仕事をするのか、シフトの日数とか、そういったことを書面で提出することが法律で義務付けられていますが、実は、この労働条件通知書というのを出してくれないアルバイト先で意外と多いです。なので、労働条件通知書を出してくれないようなあのアルバイト先は、少し契約意識とか、コンプライアンスの意識が低いというふうに疑いを持った方が良いかと思います」
しかし、労働条件通知書を発行してくれるバイト先を探すのは、簡単ではない。もし、不当な労働条件で働かされたときに1番重要なのは、証拠や記録をとっておくことと明かす渡辺さん。
「1番重要なのは、証拠や記録をとっておくことです。求人票を撮っておけば、『(労働条件が)違う』とこう言える根拠になります。あと、もう1個大事なのは、労働時間の記録を是非取って頂きたいと思います。そういう証拠をとって、専門家に相談するということも重要になってくるかなと思います」
(『ABEMAヒルズ』より)