北朝鮮が16日にミサイル発射、判明の流れが「いつもの逆」 “戦術核”明言の意図は
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 16日午後6時ごろ、日本海に向けてミサイル2発を発射した北朝鮮。17日付の朝鮮労働党機関紙は、実験に成功したとして、「戦術核運用の効率と火力任務の多角化を強化するうえで大きな意義がある」としている。また、視察した金正恩総書記は「戦争抑止力への成果を高く評価した」ということだ。

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 軍事挑発を続けている北朝鮮の動きについて、ANNソウル支局の河村聡記者が解説する。

Q.ミサイルは16日に発射されていたということだが、なぜ判明が翌日になった?
 17日の朝に北朝鮮側の新聞が写真を公開した。それに続くようなかたちで、日本の防衛省や韓国軍も「前日に北朝鮮から発射されていたようだ」「それを察知して分析していた」と発表した。いつもであれば、発射直後に防衛省や韓国軍から発表があり、その後、高度や距離、落下地点がわかるような流れがある。そして、翌朝に答え合わせのように北朝鮮側からの発表が出てくる。

 今回、なぜそれが逆になったのかはまだ明らかになっていない。韓国メディアの中には、「今回発射された飛翔体がレーダーで捉えにくいものだったのではないか」「韓国軍も察知まではできたが、十分に識別できなかったのではないか」「そのため、北朝鮮が明らかにした後の発表になったのではないか」とみているところもある。

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Q.今回の発射の注目ポイントは?
 北朝鮮は「新型の戦術誘導兵器の実験に成功した」、また「戦術核運用の効率と火力任務の多角化を強化するうえで大きな意義がある」と発表している。この「戦術核」というワードを具体的に使ったことが注目されている。

 今、ウクライナ情勢の中で、ロシアが使う可能性があるということで耳にするのが戦術核。ざっくり言うと、小さな核兵器と捉えてもらえばわかりやすい。本来、核兵器は2つの用途に使われると言われていて、1つは戦争を始めないため、いわゆる抑止力。もう1つが、戦争を終わらせるため、つまりそれだけ巨大な兵器だというふうに捉えられてきた。しかし、戦術核はそれよりも小規模で、通常兵器の延長で使うイメージ。都市1つを壊滅させる、というものではない。

 北朝鮮の核使用をめぐっては、先日、金正恩氏の妹の与正氏が談話を発表している。「韓国がもし北朝鮮に対して先制攻撃をするのであれば、我々は核を使う」という発表の直後の発射だったので、この談話がハッタリではなく、場合によってはありうるということを示す意図があったとみられる。

 18日から、韓国ではアメリカ軍との合同軍事演習、コンピュータを使ったシミュレーション訓練が始まっている。北朝鮮はこれまでも毎回批判してきたが、そこへの牽制、批判のメッセージという側面も強いと思う。

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Q.今後の動きは?
 米韓合同演習期間中の25日に、朝鮮人民革命軍の創建記念日がある。太陽節よりは小さい祝日だが、今年は90周年の節目に当たるため、軍事挑発を行う可能性はある。韓国政府の中では、この日に軍事パレードが行われるという見方が大きくなっている。

 また、5月10日には、ユン・ソクヨル氏が韓国の新大統領に就任する。ユン氏は北朝鮮に強硬な姿勢をとっているため、さらなる緊張が予想される。北朝鮮は、ユン氏の自国への姿勢が固まる前になんらかの揺さぶりをかけてくる可能性は高い。

Q.日韓の協力体制はどうなる?
 ユン氏は北朝鮮に対しては強硬姿勢だが、日本に対しては今の文在寅大統領よりも融和を求めている。実際に、日本へ政策協議団を送ることを決めていて、24日から5日間滞在する。外務省や国会関係者、財界やメディア関係者と面会する予定だが、これはアメリカに次いで2番目。そこでは、北朝鮮への対応や日韓関係の改善に向けた話し合いが行われるとみられる。

ABEMA/『アベマ倍速ニュース』より)

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