有権者「選挙頑張ってね。投票するから携帯番号教えてくれる?」
選挙活動中、有権者から肩を抱かれながら激励される候補者。嫌がる様子に気づいた男性がその場を制したことで、事なきを得た。当時を振り返り、有権者と候補者はこう話す。
有権者「激励するために握手やハグをしただけ。今後いろいろと相談したいことがあるから携帯番号を聞いただけだよ」
候補者「いやらしく握手を求めてきたり、抱きついてきたり……個人の携帯番号を教えるよう執拗に言い寄ってくる有権者には非常に困った。ただ、初めての選挙で『一票でも多くの票を得たい』という気持ちもあり、はっきりと断ることができなかった」
【映像】野田聖子大臣「心が麻痺した」過去のセクハラ被害に言及
これは内閣府男女共同参画局が政治分野におけるハラスメント防止のために制作した動画で、誰でも気軽に見られるようYouTubeで公開されている。去年秋に地方議会議員に聞き取りをして集まった1324件の事例をもとに、実際に起きたハラスメントの実態を解説している。
選挙活動中から当選後に受ける有権者や先輩議員からのセクハラ・パワハラなど、ハラスメントが発生する動機や人間関係の背景などがリアルに描かれている。
女性議員A「市の子育て支援の充実は喫緊の課題である」
男性議員B「かわいいねー。美しすぎる議員、がんばれ!」
女性議員C「まずは自分が子どもを産んだら?そういうことは、いい母親になってから議論しないとねー」
議員たちは、なぜこのような発言をしたのか。
男性議員B「(女性議員A)を励ましつつ、喜ぶと思って」
女性議員C「年齢が上がると妊娠しづらくなるから、議員活動よりもまずは若いうちに産んだほうがいいとアドバイスしただけ」
2020年度に内閣府男女共同参画局が地方議員を対象に実施した調査では、議員活動や選挙活動において「ハラスメントを受けた」と回答した割合が回答者全体の42.3%で、特に女性では57.6%にも及ぶという結果が出ている。女性の政治参加を推進するためにも、ハラスメントの防止は喫緊の課題となっている。
動画の公開を発表した野田聖子男女共同参画担当大臣自身も、過去にお酒の席などで体を触られた経験があったという。
「酔った勢いもあったかもしれないが、心がマヒした。ほとんど思ったことはないが、その当時だけは男になりたかった。男の人はこんなに触られないだろうと」
今回制作された動画は国会や地方議会の研修などで活用するほか、「有権者にも是非見てほしい」と野田大臣は話す。
「一人でも多くの方に『自分がやったのはハラスメントなんだ』と気づいていただくことが大事。学校などで教わってきているので、若い人たちは比較的わかっている。私たち中高年はハラスメントの学びがないまま成人し有権者になっているので、それを見ることで自らを振り返っていただきたい。それが他人の嫌がる行為だったと気づいていただければ、大きな一歩。ぜひご覧ください」
(『ABEMAヒルズ』より)
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