LDH martial arts契約選手の座をかけた「FIGHTER BATTLE AUDITION」の第2回は、格闘技の厳しさを感じさせる結果となった。「格闘DREAMERS」シーズン2として配信されてきたこのオーディション。最終審査となる試合は4月24日のビッグイベント『POUND STROAM』内で実施された。オーディション参加者にとってはプロデビュー戦、対戦相手はプロで活躍中の選手で、高いハードルが課せられた形だ。

 結果、「格闘DREAMERS」組は5戦全敗。オーディションは合格者なしで終了することに。プロ選手たちが意地を見せたと言っていいだろう。競争率の高いオーディションを生き残った参加者たちは優れたポテンシャルの持ち主。受けて立つ選手にとっても、実はリスキーな闘いだった。

 とりわけきつい闘いとなったのはスソンvs宇佐美秀メイソンだ。テコンドー出身のスソンに対しメイソンは空手とボクシングがベース。兄の宇佐美正パトリックは「格闘DREAMERS」シーズン1に合格し、LDH所属選手となっている。

 LDHに兄弟所属なるか、という意味でも注目の試合はスソンが1ラウンドから優勢に。だがメイソンも長い手足から繰り出す打撃で対抗。試合終盤はお互いに疲れが見え、ガードもなかなか上がらない。

 ノーガード状態でどうにかしのぎ切ったという試合は、判定2-1でスソンの勝利。スソンはパンチを振ってからタックルにいくなど、MMAファイターとしての成長を示しての勝利でもあった。

 以前、山本“KID”徳郁の愛弟子として「格闘代理戦争」に出場していたスソン。注目を浴びたもののなかなか結果が残せていなかった。だが今回ようやく「試合が決まって、人生で一番頑張った」成果が出た。「本当によかった」と顔をほころばせたスソンは「勝ったら言おうと思ってたことがあるんですよ」とも。それは2018年に亡くなった師匠・KIDとの最後の会話だった。

「お前をLDHの大会のメインに出したいって、最後に会った時に言われたんです。今は下積みだけど頑張れよって。だから今回はメインじゃなかったですけど、メインを目指したい」

 天国のKIDには「まず“やりました”と伝えたいです」。そして「(ABEMAの試合で)2回も負けちゃってすいません。もう負けないんで。このまま一直線でTOP of TOPまで行きます」

 大舞台でのサバイバルに成功したスソンは、ここからが本格的なスタートと言っていい。その胸には、常にKIDとの“約束”がある。

文/橋本宗洋