創業86年、山口県・湯田温泉の旅館「西の雅 常盤」で連日開催され名物となっている、「女将劇場」。自ら出演し、会場を盛り上げているのが、大女将の宮川高美さんだ。
「1代目がおばあちゃん、母が2代目、3代目が私。いつ潰れるかわからないので、私に芸を教えてくれました。琴と踊りを4歳のときから教えてくれました。短大を卒業したときは、誰も(女将が)なるものがいないので、私が女将になりました」
幼少期から打ち込んだ芸を生かし、なんとか旅館を助けたいという思いで20歳から始めた女将ショー。現在は女将劇場と銘打ち、温泉を堪能したあとの客を沸かせている。
「私いろんなことをやります。すごく挑戦力が強いといいますか、何でもやってみたいという気持ちがすごい強いです。いろんな芸を人の真似をしないで、自分で考えて作ろうと思ったのが一番。参考になったのは、その時代のいろんな出来事でした」
気になったことがあれば、何でも芸に反映させようと知恵をひねっているという大女将。そのレパートリーはなんと、170超えだ。
「インターネットからもずいぶん批判がありました。でも、その批判が私を育ててくれたと思います。批判された芸というのは全部当たっております。問題が起こってなんか言われたら『やった!』と思うんです。絶対面白くなるぞと思いますから、勇気を出して突き進んでいくという、自分では手法をとっています」
とてつもなくポジティブなマインドで、旅館を盛り立ててきた大女将だが、2020年、新型コロナウイルスの拡大という大きな逆境と向き合うことに。観光業全体に暗い影が覆う中、宮川さんが思っていたことを明かす。
「コロナのときは本当に真っ暗な状態が続いた。誰も来なくてやれなかったときもあります。でもお客さんの予約があって、こられたときは1人でも2人でも一生懸命やって手を抜きません。みんなにも言ってます、絶対手を抜くなと。これが私の信条ですから」
苦しい時期を乗り越え、この連休はお客さんの入りも上々だという。今後も、“3世代に受ける芸”をモットーに、お客さんに楽しい時間を提供していきたいとしている。
「一番うれしいのは、年配のお客さんに『元気が出た』『前よりもっと迫力があった』『一生懸命やってるの僕らも元気が出るから女将さんも90歳くらいまで頑張って』と言われたこと。子どもさんたちにも受けがいい芸もいっぱい作りました。完璧な芸は受けません。失敗しても中途半端な芸が一番受けます。下手でも中途半端で一生懸命する芸が一番受けると思います。歳を取っていますが、まだまだやりたいことは山のようにありますから。90歳くらいまではやれるかなと思いますので、まだ13年くらいあるから、そのうちにいろんなことに挑戦できると思ったらわくわくします」
(『ABEMAヒルズ』より)