「OK!バブリー!!」のセリフとバブル時代を彷彿させる派手なメイクとファッションで一躍有名になったお笑いタレントの平野ノラさん。
AmebaとKADOKAWAとの共同プロジェクト「アメカド」の第一弾として、4月28日に自身初の書籍『部屋を片づけたら人生のミラーボールが輝きだした。 1日15分のノラ式実践法』(KADOKAWA)を発売。
「人生の節目には必ず片付けがあった」といい、芸人になる夢に一度挫折し、汚部屋にひきこもった過去。片付けとの出会いなど、平野ノラさんの人生を振り返りながらお話を伺いました。
■やりたいことを見失い、汚部屋に引きこもった25歳
芸人を目指していたものの、25歳で一度挫折して、どうやって生きていけばいいかわからなくなったんです。悶々としながら考えるのは、「とにかく天職がほしい」「誰かの役に立ちたい」「自分を生かす何かをみつけたい」ということばかり。
そこで、興味があることを仕事にしようと、色彩検定、タイマッサージ、水墨画に手を出しては途中で挫折……。自己啓発本を買っても、ただ積み上がるだけ。読みかけの本を見るたびに、何もかも中途半端な自分にさらに自信を失っていました。
働く気力を失い無職のひきこもりになり、同棲をはじめたら、今度は昼夜逆転の生活に……。気付いたら幸せを模索して集めたモノが積み重なり、足の踏み場もないほどの汚部屋になっていたのです。
その頃、パワースポット巡りをしたりもしてたんですけど、汚部屋に住んでいて何がパワースポットって感じですよね(笑)。気持ちが埋まらないから物で埋めようとしているわけです。いま振り返ったらわかるんですけど、当時は気づけなかったですね。
人生を変える片付けとの出会い
インターネットで見つけた、“人生が変わった本”特集で紹介されていた『ガラクタ捨てれば自分が見える』というタイトルの本に惹かれて読んだら、すごい衝撃を受けたんです。
まさに私の家はガラクタだらけなのでは?と。ガラクタのせいで自分の人生が停滞しているのかもしれないと気が付いたのです。
それから何も考えず目の前のものを少しづつ片づけていきました。
ーー具体的にどのように片づけはじめたのでしょうか?
カーテンを開け、朝昼晩の生活リズムを整え、自分に必要のないものを捨て、必要なものを選ぶことを繰り返しました。片付けをしながら、やりかけの物とはじめて向き合うわけです。そこで、自分のまわりを興味があることで埋めていたけど、それは全部、不安の証拠品だったんだと気付いたんです。
片付けをすることで、物を捨てたからスッキリするだけではなく、自分の深層心理まで向き合うことができ、同時にそこで気付いた不安を全部捨てられたんですよね。
そして本当に何がやりたいのか、がわかってきたんです。大事なことは自分の外側を埋めることではなく、自分の内側と向き合うことだったんだ!と、はじめて知りました。
31歳、彼からのプロポーズを断り再び芸人へ
そこで「お笑いがやりたい!」という、ずっと心の中に残っていた火種に気づいたんです。このままでは死んでも死にきれない!と(笑)。
その頃、私も30代に突入し、結婚の話が出ていたのですが、芸人を諦められないことを伝えて、彼とお別れするに至りました。
必要最低限の物だけを持って一人暮らし用の狭いアパートに引越したわけです。すべてを捨ててこれまでの生き方を丸ごと手放したような気持ちでね。
ただ、お笑いをやろうと覚悟が決まりました。
■“じぶん会議”でキャラを片付け。バブル芸人として覚悟を決めた
ネクストブレーク芸人枠みたいなところに位置して2年目頃。ブレークするにはどうしたらいいか考えたときに、大きな片付けが必要だなと。そこで、自分にとことん向き合う“じぶん会議”を行いました。
そこで気付いたのは、腹が決まってなかったという事。ピン芸人としていろいろなキャラがあることは、ある意味正解だし、武器になっていたと思います。でも、武器が足かせになること、手放さないといけないものがあることに気付きました。
そこで、バブルと心中する覚悟を決め、保険だったキャラの衣装や小道具を全部捨てました。捨てたら自然と覚悟ができました。そしたら、翌年36歳でブレークすることができたんです!
ブレーク後は、メイクや肩パッド、大きな携帯電話を持つことで、みなさんに覚えていただきましたが、私のなりたかったのは、色々な番組でお茶の間に馴染むお笑いタレントなので、この武器がいつか足かせになるんじゃないかという思いは当初からありました。
それに、いつか飽きられてしまう。だから、バージョンアップしていかなきゃいけないとも思っていました。
バブルの要素を少しずつお茶の間に馴染むように、アップグレードしていく段階で追い風となったのが、ブラジャーの広告のお仕事でした。ここから、ここから、バブルイメージだけでないお仕事の幅も広がりましたね。
ーーブラジャーの広告に出演されたときにびっくりしたのを覚えています! そのころも片づけを日々実践されていたんですか?
またまた汚部屋になったんですよ(笑)。バブルでブレイクしてからは、寝る時間もないくらい忙しくて……。
開けていない段ボールが積み上がって、タオルにはカビも生えていました。片づけの大切さは学んでいるし、このまま汚部屋に住んでたら絶対大成しないと思って生み出されたのが、1日15分のバブリー片付けなんです。
片付けするときってやる気に満ち溢れるけど、結局部屋のものをぶちまけて終わりってこともありますよね。
だから15分。この短時間だと、テレビを見ながらゴミを捨てるとか、YouTube見ながら棚の中を1段整理するとか、飽きずに続けられるし、翌日のモチベーションも残せるちょうどいい長さなんです。
そして褒めてあげて欲しいです。日々、仕事、子育てで忙しい中で片付けをできた自分をちゃんと褒めてあげてください。
自分で自分を褒める!15分だったらすぐにできるし、できたという達成感の積み上げがあると自己肯定感が上がっていきますよね。
■全世界が立ち止まった2020年。「5年後に後悔したくない」
2020年、41歳の時に起こった新型コロナウイルス感染症拡大。それまで走り続けてたところに時間が出来たんです。そこでまた“じぶん会議”を行い、5年後の自分と向き合ったんです。
コロナ禍で否応なしに仕事が整理され、5年後の自分と向き合った結果、際立った選択肢が「子ども」でした。
2017年に結婚してから、仕事に全力で向き合っていたこともあって、それまで考えていなかったんです。もちろん子どもは授かりものなので、どうなるかわからないけど、いまトライしていなかったら45歳になった時に後悔するんじゃないかと思いました。
■散らかすのは大事な成長過程。夫と子どもと片付けと…
そして、42歳で娘を授かりました。娘には自由に動き回って欲しいから、親になって片付けの大切さが増しました。時間は今までより取れないので、生活しながら片付けしやすい仕組みをつくっています。
ーー日々の生活の中で、子どもが散らかしたりすることにはどう対処しています?
子どもの壊す、投げる、散らかすは大事な成長過程なので、自宅では、やるじーゃん!って感じで一緒に面白がってます。夜に旦那と一緒に片付けてきれいな状態で朝を迎え、子どもがまた朝から散らかすという感じです。
ーー結婚してから汚部屋だった時期もあるとのことですが、片付けについて旦那様から何か言われたりしなかったですか?
なかったです。うちの旦那は、自分から何も片付けをしないかわりに、どんなに汚れても何の文句も言わないんですよ。だから最終的に散らかった部屋が嫌になって、私が片付けます。
決めているのは、家族のものを片付けるときは一緒にやるということ。いらないと思うような物でも、彼がいないところで捨てたりはしません。彼はコレクター気質なので、集めて満足している部分もあるんですが、引越しの際に「ネクストステージにその本がふさわしいかどうか」を自分軸でしっかり選び抜いてもらったら、自然と物を減らしてくれましたね。
■片付けは誰にでも、今すぐできる開運術
ーーずばり、平野ノラさんにとっての片付けとは?
片付けは、誰にでもできる簡単な開運術!
私も、片付けは面倒くさいことだと思っていたので、そう思う人の気持ちも、よくわかるんです。でも、私は片付けを、夢を叶えていくひとつのツールだと思っています。
イメージしたことは叶いやすいですから。ただ捨てるだけじゃ勿体ない!自分が理想とする暮らし方や、なりたい物とか想像しながら手離します。
これを手離して、こうなりたい、こうなろう!って自分を信頼し自分に約束する。はっきりイメージすればするほど叶いやすいですから。
そして、物がなくなることで思考が整理され、その結果、行動に移せて人生が上向きになったりもすると思うし、自分も実際それでやる気になりましたし。
ーー夢を叶えていくために行うと思えば、前向きに取り組めそうです。今回、ブログが人気を集めて書籍化となりましたね。
片付けで人生をポジティブにしてきたので、少しずつ発信できたらいいなと思い、自分のパーソナルな部分はブログで発信してきました。
映える写真がなくても、本当に小さな変化でも日々をつづっておけるブログがあることで、自分のことを振り返ることもできるし、本当のファンの方が読みにきてくださるのも実感できて、ありがたい場所だなと思っています。
自分が片付けで得た体験や実践法などをたくさんの方にシェア出来たらいいなと思いブログにも綴っていたので、本になってこんな形でみなさんに伝えられるのがマンモスうれぴー!ですね。
私自身が、片付けの本と出会ったのは、人生どん底でどうやって生きていったらいいのか自問自答しているときでした。
なので、幸せになりたいけど、どうしたらいいのかわからなかったり、自分らしい生き方に悩んでいたりする人にぜひ手にとっていただき、人生のミラーボールが今より少しでも輝くきっかけになったらぶっとびうれぴーです