元経産官僚のツイートを刑事告訴した米山議員が、それでも侮辱罪の厳罰化に反対をする理由
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 国会で審議入りした刑法改正案について米山隆一衆議院議員が13日、次のようなツイートをした。

 『政府の侮辱罪厳罰化法案が成立すると、宇佐美典也氏が私に対してTWした「あいかわらずストーカーみたいで気持ち悪い人だな~」だけで、相手から刑事告訴され、逮捕・勾留すらあり得ます。私はそれは、言論の自由を強く委縮させる、行き過ぎであると思います。』

【映像】相互ブロック中なのに?米山隆一VS宇佐美典也

 一体どういうことなのだろうか。そもそも元経産官僚の宇佐美典也氏と弁護士資格も持つ米山議員は、数年前から相互にアカウントをブロックしている間柄。ただ、「一切ツイートを見たくない」という宇佐美氏に対し、米山議員は言論活動の一環として宇佐美氏の主張を気にかけていたのだという。

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 そんな中、宇佐美氏が先月、立憲民主党の蓮舫議員のツイートを引用する形で同党を批判。すると、このツイートを閲覧できないはずの米山議員がTwitterの画面キャプチャを添付、『この手の「反対したのが悪い」的責任転嫁は責任の所在を曖昧にし言論を委縮させる極めて有害なもので「如何にもこの人」と思います』と批判のツイートをしたのだ。

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 この事実を他のユーザーから教えられたという宇佐美氏は「相変わらずストーカーみたいで気持ち悪い人だな〜。」と不快感も露わにツイート。この、宇佐美氏自身も“感情的だった”と認める投稿について、米山議員が警察に刑事告訴した。

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 告訴に踏み切った理由について米山議員は「木村花さんの母、響子さんが誹謗中傷したユーザーを特定したが、大半の人は“俺は何も悪いことをしてない、表現しただけだ、正義の言葉を発しただけだ”と主張する。しかし、それが侮辱だったり、人を傷つけたりするわけだ。宇佐美さんが私のことをストーカーだと思うのはいい。しかし一定の影響力のある宇佐美さんによる公開の場での言論だし、私がストーカーであるかどうかを決めるのは宇佐美さんの基準ではなく、世間一般の基準だ。侮辱罪に当たるかどうかは司法が判断することになる」と説明。

 その上で「警察の現場は全く分からない様子だった。そこで私が法務省のホームページに掲載されていた処罰例を見せて、“ブス”と言うくらいでも処罰されているじゃないか。だから“ストーカー”も処罰されるはずだと説明したところ、“そうか”といって受理された。ただ、“うちの署は忙しいから、すぐ進むとは思わないでよ”とも言われ、“なんだかなあ”と思った」と明かした。

 そんな米山議員が今般の刑法改正案には反対の立場を示しているのはなぜなのだろうか。

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 「今は1万円未満、だいたい9900円が法定刑の上限なので、嫌かもしれないが、“まあ食らってもいいかもしれない”というレベルだ。それが1年になり、逮捕される可能性がある。仮に無罪になったとしても、21日間も勾留されてしまえば社会的には抹殺されてしまう。そうなれば、みんな怖くて米山の批判なんてできないよ、とならないか。それは健全じゃない。宇佐美さんは怒っているかもしれないが、逮捕されず、せいぜい科料9000円ぐらいに抑えておいたほうがいいのではないか。確かに、木村響子さんのような場合に9000円では足りないだろうということで自民党が厳罰化案をだしてきたわけだが、悪影響もすごく大きいと思う」。

 その上で、自身が中心になって作成したという“誹謗中傷を罰するべきだ”との対案について、次のように説明した。

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 「人の内面、人格を加害する目的があったかどうかが必要だということにする。本当に検察官が認定できるのかと思われるかもしれないが、むしろ認定できないくらいが良い。“そんな目的はない”と言えば罰せられず、言論の自由も守られるわけだ。しかし、“死ねばいいのに”という言葉であれば、“その言葉自体に加害の目的があるでしょ”と指摘することができる。あるいは“関西弁かもしれないけれど、アホアホ言うのはやめてください。僕は東京人だからアホと言われたら傷つくんです”と言ったのに、それでも続ければ加害の目的あるでしょと指摘できる。その上で法定刑は拘留、科料マックスで9900円にとどめておくということだ」。

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 宇佐美氏は「米山さんのおっしゃる通りだと思うが、私はなんでも法律で解決しようとしたり、個人の言論を処罰するような規定を増やしたりすべきではないと思う。まずは政府がガイドラインを示し、Twitterなどのプラットフォームに対して問題を減らす努力をしてくださいと義務付ける。それを受けてプラットフォーマーが対応し、ユーザーもそこに従って発信していくようになれば、自然と良い言論環境が作られていくんじゃないか。そうすればユーザーも増えるし、サービスに対してお金払おうということで、経済も回るWin-Winの仕組みができていく。それが本来あるべき姿じゃないか」と話した。(『ABEMA Prime』より)

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