異色の経歴を持つ“お坊さん”ボクサーが登場。1ラウンド2分45秒で衝撃のTKO負けを喫するも「テンプル」というリングネームもあってか、勝負を分けた一撃か「テンプルか否か」の論争に発展。「テンプル?」「アゴでしょ!」など話題を呼んだ。
墨田区総合体育館で開催されたプロボクシングイベント「DANGAN250」。諸岡直樹(セレススポーツジム)とテンプル神原(DANGAN AOKIジム)の6回戦は、1ラウンド終了間際に諸岡が絶妙なタイミングで右を合わせてダウンを奪うと、連打をまとめてTKO勝ちを収めた。
試合の主導権を握りつつあった神原のよもやの”一撃敗戦”。「最後はテンプルに当たったか否か?」という別の問題に論争が発展する幕切れとなった。
戦績は諸岡が11戦5勝6敗、神原が4勝1敗。注目を集めたのは佐賀県の観光名所としても有名な大興善寺が実家の"お坊さんボクサー”の神原。ボクシングの大会ということで、リングネームを「テンプル=こめかみ」と勘違いする人が続出した。
試合を中継したABEMAで実況を務めた西達彦アナウンサーの「テンプルはお寺を意味します、お坊さんです」との紹介に合わせて神原が袈裟をまとって花道から入場すると、視聴者がザワつきはじめ「お坊さんかよ!」「破壊僧かよ」「まさかの寺の方のテンプル」などツッコミが殺到する。
試合は身長154センチの諸岡に対して166センチの神原。身長差14センチ、リーチ差12センチとフレームが一回り大きい神原が、伸びのある左ジャブの連打を見せる。一方、距離を縮めても伸ばしたパンチが思うように当たらない諸岡。独特の間合いと動きで神原が試合の主導権を握っていく。
解説席の内藤律樹も「(諸岡選手は自分の距離に)入り切れていない。フェイント、頭の位置を変えるなどひと工夫が必要。テンプル選手戦いやすそうですね」と話したその時だった。
一気に距離を縮めた諸岡の右フックが神原の顔面を捉え、神原は横から崩れるようにダウン。立ち上がるも、効いているか虚ろな目でファイティングポーズ。再開後、一気にスピードを上げて相手に立ちはだかった諸岡は連打を仕掛ける。これにたまらず神原が前のめりになって崩れると、レフェリーが割って入り試合を止めた。
唐突に訪れた衝撃のKO決着に「テンプルにいいのが入った」「本当にテンプル貰った」と視聴者が反応。何が何でもテンプルへのパンチにしたい声に対して「いやアゴでしょう」「アゴだろ」と冷静なコメントも…。リプレー映像で確認するかぎり"会心の一撃”はアゴをシャープに捉えた右。諸岡陣営からは「ドンピシャだったよ!」と会心の一撃を称える声も聞かれ、勝ち名乗りを受ける諸岡は満面の笑顔でガッツポーズを決めた。
内藤からは「テンプル選手が待ってカウンターを合わせようとしたら、そこにドンピシャで当たっちゃいました。(相手の)パンチが見えていたからカウンターを当てようという欲が出てしまった」と神原の敗因を分析。そのコメントを裏付けるように、敗れた神原も手応えを感じていたのか悔しそうに「もったいないなぁ…」と声を張り上げた。
神原は試合後、自身のSNSで「改めて一発の怖さを実感しました」とコメント。自身がダウンする写真とともに深夜に「寝れません。いい写真です。負けに負けません。この写真は宝物 諸岡選手ありがとうございました。先にA級で待っててくださいね」と謙虚に綴りつつ、リベンジを誓っていた。