卑猥なメッセージが届くことも… 大谷麻衣が“言葉の性暴力”に訴え「被害者が泣き寝入りをすることなく、声を上げやすい世の中に」
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「作品の為に身と心を捧げてきたからこそ言います。これまでのように黙って一人で耐えたりしません。言葉の性暴力、断固反対」

【映像】言葉の性暴力…大谷麻衣が被害の実態を明かす

 SNSに投稿された激しい怒りの言葉。発信したのは、女優の大谷麻衣(33)。彼女が怒りを向けたのは、SNSで受けた“言葉の性暴力”。自身に寄せられたコメントを掲載し、Instagramのストーリーズを投稿。アカウント名を晒し、言葉の性暴力撲滅を訴えた。

「これまで名も顔も知らぬ人たちからの心ない言葉に沢山たくさん憤り、傷付き、悲しい思いをしてきました。きっとこれからも続くでしょう。でも、だからって今までみたいに堪えて黙ってたら何も変わらないから」

 番組はこの投稿をした大谷を取材。アカウントを晒すことに対する批判も覚悟の上での行動だった。

「顔も名前も知らない人から、そういう言葉を浴びるのは、性暴力に近いものだと思っているので。私としても、この件に関して発言したいなという思いがあって」

 2009年に女優としての活動を開始した大谷。これまで舞台やドラマなど、多方面で活躍してきた。役柄も様々で、時には体を張った性的シーンを演じることも。地道に女優としてのキャリアを築いてきた。

 その一方、“性”を題材にした作品に出演したことで、彼女のもとには、卑猥なコメントが日常的に届くようになった。

「言葉は柔らかいかもしれないけど、どうしても素直に喜べない。体に触れられたわけでもないし、目の前にその人がいたわけでもないけど、すごく怖くなる。作品のためにと思ってやってきたことだけど、すごく作品が侮辱されているような感じがして、ああいう言葉をもらうとすごく悔しい。怒りのような、一筋縄では言えないような感情になる」

 顔も名前も知らない人から受ける言葉の性暴力――。こうしたコメントが寄せられる度に、「心臓が締め付けられる思いになった」と涙ながらに話す大谷。これまで幾度となく声を上げるか悩んだという。

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「『あなたは作品で脱いだから人に知られたんでしょう』『そういう作品に出たんなら、そういう目で見られて仕方がないよね』『むしろそれは喜ぶべきなんじゃないのか』『喜んで受け入れろ』みたいなDM(ダイレクトメッセージ)も来る。そういう言葉をもらったときに、嫌だってことすら言ってはいけないのかなとか。言ったら批判コメントが来るんじゃないかというトラウマが少しあって」

 作品に出演した以上、卑猥な声も受け入れるべきなのか……。時には、自己嫌悪に陥ることもあったという。こうした中近年、映画業界における“セクハラ問題”の実態が明るみとなり、大谷はアクションを起こすことを決意した。

「最近、少し、映画業界がセクハラや性暴力で騒がしい中で、何かこういう小さな火種を甘んじて許してきた。そういう風にしてきてしまったから、大きい問題にまでいってるのではないかと思って。作品の楽しみ方は人それぞれで、その作品をどうとらえても構わないし、それを自分のSNSやレビューサイトとかブログで発表するのは全然構わない。ただ、私に送らないでほしい。それだけ伝えたかった」

 インターネットやSNSの普及により多様化した“性暴力”の在り方。大谷は、「被害にあった人が泣き寝入りをすることなく、声を上げやすい世の中になってほしい」と訴える。

「私たちの世代でこういうことは終わりにしたいというか、下の世代がもう少し、社会で生きやすい基盤を作っておいてあげたい。今回のネットのことも、リアルな社会のことでもそうだし、上の世代がそういう困っている人たちを助けてあげられる社会基盤を、これをきっかけに、今の風潮というか今の流れをどうにか変えていきたいとなっているので、ここで変えたいなと強く思う」

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 こうした被害について、どのような罰則が科されるのだろうか。弁護士の藤吉修崇氏によると、投稿へのリプライやコメント欄など、オープンな場で卑猥なメッセージを書くことについては、侮辱的な内容であれば侮辱罪が適用され、発信者の情報の開示請求が可能だという。

 一方、DMなど1対1の場で卑猥なメッセージを送ることについては、現状は卑猥なメッセージだけを罰するための刑事罰が無く、身体に危害を加える趣旨の内容であれば、脅迫罪が適用される。ただし、発信者の情報の開示請求が難しいとのこと。

 被害に遭う人がいる問題に対して、社会の意識を変えていくにはどうすべきなのか。ニュース番組『ABEMAヒルズ』のコメンテーターとして出演した、アイドルや女性アーティストと関わることの多い、振付師の竹中夏海氏は次のように述べた。

「彼女たちからは日常的に被害を受けているとよく耳にする。DMを閉じるなど、身を守る方法はあるけど、どれも被害者がいろんな術を使って守っているだけで、被害がなくなるわけではない。また、第三者が被害者を批判するセカンドレイプを無くすこともすごく大事。負の連鎖を断ち切るためには、被害者が声を上げたいタイミングで上げられる世の中にしていき、加害者が自由にできない状況を作るべき」

(『ABEMAヒルズ』より)

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