岸田総理は18日、自らが会長を務める岸田派のパーティーに出席し、夏の参議院選挙に向けて「何としても勝たなければならない」と、党の結束を改めて訴えた。
夏に迫る参議院選挙に向け、動き始めている各党。与党の状況について、テレビ朝日政治部の野中里紗記者が伝える。
Q.参院選の日程、争点になるのは?
正式には決まっていないが、7月10日投開票の見通し。公約も各党が現在作成中だが、日本が抱えている課題が争点になりやすい。新型コロナの対応や経済対策、また、ロシアや北朝鮮をめぐる外交安全保障などが争点になると考えられる。
Q.補正予算をめぐり、自公の“すきま風”が指摘されるが。
「自公幹部のパイプが弱くなっている」という指摘は自民党内からもある。公明と強いパイプのあった二階元幹事長や菅前総理が自民党内で“非主流派”となり、交渉に携われていないことも影響している。根回しもなく双方の主張がぶつかり合うだけで、結果、落としどころがないまま交渉が進むことが多くなっている。
これが如実に現れたのが、補正予算をめぐる自公の攻防だったと言える。今回、「予備費積み増し」という折衷案で合意した。ただ、自民党は参院選前の補正予算編成にはかなり後ろ向きで、党幹部は「予算委で集中砲火を浴びて支持率が下がる」と心配していた。自分の選挙を間近に控える参院議員は「補正編成は選挙に直結するのでやめてほしい」と嫌がっていた。
一方、自民党幹部によると、公明党側は支持母体の創価学会が「絶対に補正を編成すべきとの立場で、譲らなかった」と話している。岸田総理も周囲に「理屈がわからない」と漏らすほどだったという。
最終的に2.5兆円程度の補正予算を今国会で編成し、予備費の積み増しなどに充てることで合意した。自公の選挙協力が進んでない状況もあり、自民党が譲ったかたちになる。公明党内からは「もともとはうちの根回し不足だが、粘り勝ち」という声もあがっていて、結果的に自公のパイプの弱さを露呈するかたちになり、参院選にしこりを残したと言える。
Q.相互推薦についても自公は揉めている?
これまで2016年と2019年の過去2回の参院選では、自公は相互推薦というかたちで選挙協力をしていた。具体的には、1人区を中心に公明党が自民党の候補を推薦して、複数区では自民党が公明党の候補を推薦する、というふうに、相互に応援し合う体制をとっていた。今回は、衆院選が去年の秋、参院が今年の夏と、選挙と選挙の間が短かったこともあって、自民党側の動き出しが公明党側からするとちょっと遅いということになった。
今回の相互推薦も、やるのか・やらないのかということで揉めていた。結果的には、これまでの相互推薦と全く同じというかたちにはならなかったが、事実上はこれまでと同じようにお互いに選挙協力をしていこうということで合意した。
Q.自民党執行部でも“不協和音”があるとされているが。
話に出てくるのが、茂木幹事長と高市政調会長の関係だと思う。発端は政策を取り仕切る高市政調会長が、重要な政策の決定から外されたこと。少し前に「年金受給者に1人5000円を支給する」政策が話題になったが、これは茂木幹事長が考案した参院選対策で、高市政調会長は官邸に申し入れに行く直前に知らされた程度だった。
さらに、トリガー条項の凍結解除の話し合いにも、高市政調会長はまったく噛んでいなかった。本来、政策を取り仕切る政調会長の立場からすると「許せない」ということで、官邸に自民党の党則を持って乗り込んで、「『党が採用する議案は政調会の議を経る』と書いてある」と岸田総理に直談判した。岸田総理もそれを受けて、後の役員会で党則を読み上げ、穏便に済ませようとした。
ただ、茂木幹事長からすると、公明党とのやりとりを高市氏がいまいちしっかり進めてくれないということがある。結局、今も公明党とのやりとり、政策的なものも選挙的なものも茂木幹事長が担う状況になっている。
Q.党四役で毎週行われている「お茶会」とは?
4者の関係をよくしよう、情報共有しようということで茂木幹事長が呼びかけ、毎週昼ごろに「お茶会」を開催している。初回に出たのがペットボトルのお茶だけだったということで、高市政調会長が「ケーキとか出るのかと思いました」などと揶揄すると、以降はケーキとコーヒーが出るようになったと聞いている。高市政調会長が「クリーム系のケーキがいい」と要望したことから、ショートケーキ、チーズケーキ、シュークリームをローテーションしているらしい。
実際に話し合う内容は雑談が多く、機微なことは話題になっていないそうだ。ただ、党幹部が仲良くしていないという見え方も問題なので、仲良くしていこうと努力している最中だと言える。(ABEMA/『アベマ倍速ニュース』より)