将棋の藤井聡太叡王(竜王、王位、王将、棋聖、19)は5月24日、叡王戦五番勝負第3局で出口若武六段(27)と午前9時に対局を開始した。開幕連勝を飾っている藤井叡王は、本局に勝利すると防衛、加えてタイトル戦13連勝で羽生善治九段が保持する歴代2位の記録に並ぶ。対する出口六段は後がなく、絶対に負けられない大一番を迎えた。
白色を基調とした和服姿の藤井叡王は午前8時47分頃に対局場に入室。初夏の訪れに合わせるように整髪され、日ごろ前髪にさえぎられている鋭い視線を見ることができる。挑戦者の出口六段は青色ベースの和服を選んだ。対局開始20分前に着座すると、身支度を整え目を閉じて集中力を高めていた。
藤井叡王は、2016年10月に四段デビュー。第34期竜王(1組以上:1期)で、順位戦A級(A級:1期)。タイトルは通算7期で、現在最多の五冠保持者。棋戦優勝は5回。デビューから5期連続で年度勝率8割を超え、通算の勝率でも.8343を誇る。将棋大賞でも2年連続で最優秀棋士賞に選ばれるなど、令和将棋界のトップに君臨する天才棋士だ。
本局に勝利すると、叡王初防衛に加えてタイトル戦連勝数は13に。大山康晴十五世名人が1961年12月の第12期九段戦第3局から1962年10月の第1期十段戦第1局までに挙げた17連勝に次いで、歴代2位記録を持つ羽生善治九段に並ぶことになる。
挑戦者の出口六段は、2019年4月に四段昇段。竜王戦6組、順位戦C級1組。通算勝率7割近い期待の若手で、もとは振り飛車党だったが現在は居飛車党に。藤井叡王とは、まだ出口六段が奨励会三段のころに新人王戦三番勝負で初対戦。この時は2連敗し、後にプロ入り後も負けが続いたが、2020年3月の棋王戦予選で初勝利を挙げている。
今期の叡王戦では、名人戦挑戦中の斎藤慎太郎八段(29)、名人3期の佐藤天彦九段(34)、新進気鋭の服部慎一郎四段(22)を破り、自身初のタイトル戦の舞台に上がった。五番勝負では藤井叡王相手に勢いのある踏み込みを見せるも、連敗を喫し後がなくなっただけに本局にかける思いは強い。
棋戦誕生後、タイトル戦昇格後の第3期以降も毎年挑戦者が勝利している叡王戦。棋戦にとって初めての防衛を藤井叡王が果たすのか、今期も新叡王誕生に向けて出口六段の反撃が始まるか。持ち時間はチェスクロック方式の各4時間で、先手は藤井叡王。ABEMAではこの対局を終了まで生放送する。
(ABEMA/将棋チャンネルより)