1ラウンド終了間際のダブル・ノックダウンに「うわぁ、完全に相打ち」と放送席が驚きの声。その後も延々と続いたノーガードでの殴り合い。選手たちがフラフラになりながら見せた壮絶な攻防は、“タオル投入”の劇的KO決着となった。
5月29日に後楽園ホールで開催された「RISE158」で、伊東龍也(HAYATO GYM)と羅司(らいぜ・TEAM TEPPEN)が対戦。試合は1ラウンドから珍しいダブル・ノックダウンが飛び出す激戦となり、最後は伊藤が鮮やかなハイからボディアッパーを決め、羅司を仕留め切った。羅司が崩れ落ちるタイミングで陣営がタオルを投入する衝撃KO劇で手に汗握る打ち合いは幕を閉じた。
TEAM TEPPEN期待の現役高校生ファイター・羅司はこの日がデビュー戦。アマチュアでの高い実績がある伊東はプロ3戦目、昨年拳を負傷して今回が復帰戦となる。サウスポー同士の戦いは両者とも“打たれたら打ち返す”意地のぶつかり合い。1ラウンド終了間際には、羅司が右フック、伊藤が左、右と当てて両者ノックダウンを喫した。
すぐに立ち上がった羅司が「効いてない」と手を挙げてアピールすれば、伊藤も「こっちも効いてない」うなづいて見せた。意地の張り合いのようなダブル・ノックダウンの攻防にABEMAの放送席が「うわぁ、完全に相打ち」と興奮すれば、視聴者からも「これは珍しい」「面白いな」といった声が殺到した。ゴングに救われた両選手が拳を合わせる仕草を見せると、この日のゲスト解説である紅絹は「この二人(パンチの)流れが一緒なんですよ」とリプレイ映像を見ながら解説。実況アナも「共鳴しあってますね」と好ファイトに興奮気味だ。
2ラウンドに入るとさらに戦いはエスカレート。ロー合戦の鈍い音が鳴り響き、近い距離でノーガードで連打する両者に「武尊みたいな戦い方」「どっちも危ない」「荒削りだけど気持ちが強くていい」「我慢比べだ頑張れ」といった視聴者の声援が数を増していく。2ラウンド終了間際に伊藤が経験の差を見せてヒザを叩き込むと、羅司はやや失速気味。しかし、フラフラになりがらも拳を振るい続けた。
3ラウンドに入っても乱打戦は続くが、少し余裕を見せる伊藤に対して、必死に追い食らいつく羅司といった展開。強烈な伊藤のフックの連打を貰いながらも絶対に倒れない羅司だったが、伊藤の振り抜いた左ハイを被弾。一時は倒れるもすぐに立ち上がってここはノーダウン判定。手に汗握る打ち合いは終盤戦へ。残り1分30秒を切ったところで伊藤がボディへのアッパー、さらにアゴ先へのアッパーを続けざまにたたき込むと、ついに羅司が手をついてダウン。前のめりに崩れ落ちると同時に、TEPPEN陣営からタオルが投入され、ここで試合終了となった。
両者が見せた壮絶すぎる熱戦に視聴者も興奮。「全力を出し切った試合」「両者に拍手を送りたい」「2人とも気持ちの良い選手だな」「両者凄かった」と称賛の声が。極真空手のキャリアからキックボクシングに転身してわずか3年の伊藤に解説を務めたブラックパンサー・ベイノアは「空手の残心を決めながら、アッパーはきれいなボクシングなんですよね」と空手とボクシングが融合した技術の高さについて言及。さらにほろ苦いKOデビューとなった羅司に対しても「これからRISEを盛り上げる選手になる」そのポテンシャルに太鼓判を押しながらエールを送っていた。