「野田聖子大臣を中心に、岸田内閣はとても頑張った」男女共同参画会議メンバーの佐々木かをり氏に聞く“女性版骨太の方針”
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 政府の男女共同参画会議が原案を示した「女性版骨太の方針2022」(女性活躍・男女共同参画の重点方針2022)」。

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 原案では「女性の人生と家族の姿は多様化しており、もはや昭和時代の想定は通用しない」として、(1)女性の経済的自立、(2)女性が尊厳と誇りを持って生きられる社会の実現、(3)男性の家庭、地域社会における活躍、(4)女性の登用目標達成、の4点を打ち出している。

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 ひときわ注目を集めているのが(1)で、男女間賃金格差への対応、地域におけるジェンダーギャップの解消、女性の視点も踏まえた社会保障制度・税制等の検討などが盛り込まれており、「結婚すれば生涯、経済的安定が約束されるという価値観で女の子を育てることのリスクについて認識を広める」と、踏み込んだ表現も見られる。

■国民ひとりひとりが見ていくことが必要だ

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 今回の原案に対する賛否について、男女共同参画会議の委員も務める株式会社イー・ウーマンの佐々木かをり代表は次のように話す。

 「私も15年、様々な会議に呼んでいただいて、言いたいことを言ってきた。やはり大きな夢物語を描きたいと思っても、どこの省庁が担当するのか、予算が付くのか、といったことが確認されたものが文書になっていくわけなので、書いてもらうためにどうすればいいかを考えなければならない。だから言いたいことが10あったとしても、そのうちの2を実現してもらえるよう、今回8については飲もうということもあり得る。

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 だから今回の原案についても、表現の全てに賛成というわけではないし、そもそも“男女共同参画”という名前も古いと思う。例えば“女性比率19%”と書くよりも“男性比率81%”と書いた方がより景色が見えるんじゃないか、という意見も出した。しかし全てが採用されるものでもないし、修正の過程で違う言葉に置き換わっていくこともある。それでも“女性版骨太の方針”というものが出るような時代になったのか、やっとここまできたか、という感じがあるし、野田聖子大臣を中心に、岸田内閣はとても頑張った。逆に言えば、書かれたことは全てやってくださるはずなので、そこについては“まだまだだけど、ここまで書いてくれたのはありがとう。じゃあ次は?”、“その後、本当にやっているの?”と国民ひとりひとりが見ていくことが必要だと思う」。

■それぞれが自立するようになっていけたら

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 その上で佐々木氏は「会社を作り、子どもを育てながら仕事をしてきたという立場で話をしたい」「専業主婦でも一生独身でもいいし、子どもも産んでも産まなくてもいい。どういう道を選んだとしても幸せに生活できるような社会の仕組みが作りたいと私は思っている」と訴える。

 「女性の経済的自立を阻んでいたものが何なのかを調べるためには、男女別のデータを取らないと分からないことも多い。例えば問題解決能力やITスキルなどをみるOECDの“成人力テスト”というものがあるが、実は日本が三十数カ国の中で1位だ。一方、世界経済フォーラムの“ジェンダーギャップ指数”を見ると日本は120位と、賃金や地位など、様々なところにギャップがあることが分かる。優秀な女性たちがいるにも関わらず使わないでいるというのは日本経済にとっては損だ。そこを是正するか、ということだ。

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 データによれば、仕事をしている既婚の女性の6割が年間所得200万円以下ということになっていて、未婚の女性の場合は300万円以下と、世界的に見て本当に低い額に留まっている。背景には、“生計を一にしている”という前提で扶養の制度が作られているため、夫が妻に“扶養家族でいてくれたほうが税金も安くなるから、130万円以下ぐらいに収まるように働いてね”とお願いする“130万円の壁”問題がある。それは世帯としてはハッピーかもしれないが、男性の税金のために女性が自分を抑えているという見方もできるし、将来にわたって離婚しないという保証はない。女性の経済的自立は実は男性の経済的自立でもあるので、パートナーが働いているかどうかに関係なく、それぞれが自立するようになっていけたらと思う」。

■中小企業、フリーランスに残る不安

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 フリーアナウンサーの柴田阿弥は「働いてキャリアを築いていこうとする女性にとっては、男性との給与格差が大きくなってしまうことになる出産・育児はリスクだよねという認識が広がっていたので、そこを支援していこうというのは当然のことだ。一方で、地方出身の私としては、男性や社会の問題だけでなく、女性の問題でもあると感じている。これまでは専業主婦が当たり前のモデルケースのようになっていて、夫の扶養に入ることで年金や健康保険など手厚い社会保障制度を受けることができたこともあって、“仕事なんてだるいし、早く専業主婦になりたい”という価値観の中で育ってきた女性が非常に多い」とコメント。

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 また、今月から会社員として働き始めたタレントの池澤あやかは「ベンチャーで働いていた時には、会社としてもお金がないから、出産・育児をする写真を支えるどころじゃないという状況の中、一つの目標にみんな全力疾走して回していくような雰囲気があった。やはり日本はほとんどが中小企業だし、柔軟な対応ができるわけではないと思う」と振り返る。

 「フリーランスの場合は育休もないので、出産後すぐに無理をして仕事を再開したという友人もいる。より多くの人が充実した福利厚生を受けられるべきだと思う。そのようにして女性が働きやすくなることで、男性の働き方、生き方も変わってくるだろうし、専業主夫という選択肢を選ぶ人も増えてくるかも知れない。ただ、雇用保険から出る育児休業給付金で給料の67%がカバーされるが、上限は30万円だ。やはり女性がメインになって生計を立てよう考えると難しいと思う」。

■企業の現場から変えていくこともできる

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 佐々木氏は「私たちの身の周りで感じることと、全国各地の方が感じてらっしゃることは違う。それぞれの気持ちになって何を解決していかなければいけないかを考える必要がある。また、フリーランスについては議題に上がったし、政府も着目しているということはお伝えしたい」とした上で、企業が取り組めることもあるはずだと訴える。

 「まず“育児休業”という名前が良くない。休業というと後ろめたい気持ちになってしまうが、出産・育児を経験すると、時間管理や危機管理など、様々なスキルが向上する。それは男性にとっても同様で、とても良い人材になって職場に戻ってくる。様々な考え方が身につく期間になると思えば、“ダイバーシティ研修期間”といった呼び名にすればいい。

 私が35年前に作った小さな会社でも、子どもを会社に連れてくることができるし、育児休暇も1時間から取ることができる。むしろそういう会社を選んで就職をすればいいと思う。また、育児休業給付金は所得税が免除されるので、給料の約80%がカバーされることになる。だから私は企業の社長さんに“ハーバードに留学させようと考えているのなら、まずは育休中の従業員に給料の20%分を支給したほうが安上がりだ”と言うようにしている。こういうことは政府のペーパーには入っていかないが、企業の現場から変えていくこともできる」。(『ABEMA Prime』より)

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