公開延期を経て、6月11日に待望の劇場公開を迎える映画『ドラゴンボール超 スーパーヒーロー』。前作は全世界でもメガヒットし、興行収入135億円を記録した。今回、原作者・鳥山明が全面的に参加し、新生レッドリボン軍、さらには新たな人造人間との激しいバトルが描かれている。キービジュアルのど真ん中にいるのは、孫悟飯とピッコロの2人。シリーズ作品でも高い人気を誇る“超師弟”の関係について、孫悟飯役・野沢雅子、ピッコロ役・古川登志夫に聞いた。
アニメとしては『ドラゴンボールZ』から師弟として活躍し始める孫悟飯とピッコロ。ピッコロは父・孫悟空の宿敵ながら、地球を攻めてくるサイヤ人に対抗するために、幼い孫悟飯は一時ピッコロに預けられ、初めて戦うことを教わる。ここから師弟を超えた関係が築かれ、孫悟飯は常に「ピッコロさん」と慕い、ピッコロもまた命をかけてまで孫悟飯を守るなど、ファンにとっては親子以上の関係を感じさせるところだ。
――今回は孫悟飯がメインの作品になっています。
野沢雅子 孫悟飯がメインと聞いて「あ、ピッコロさんとの話だ」と思いました。悟飯君はお父さんである悟空よりピッコロさん（寄り）ですからね。お父さんは1人でもなんとかやっていけるじゃないですか。ピッコロさんがやっていけないわけじゃないんですが、「ピッコロさんと一緒に」「ピッコロさんのためなら」って。やっぱりピッコロさんなんですよ、悟飯君はね。私（悟飯）にとっては命の恩人でもあるし、（もう一人の）お父さんでもあるし、自分の命より大切な人がピッコロさん。お父さん（悟空）も、それなりに大切なんですけどね（笑）
古川登志夫 それなりって（笑）。
野沢雅子 お父さんはね、1人でも生きていけるだろうと、悟飯は思っているから。
古川登志夫 あっけらかんとしたところが悟空の魅力ですからね。
野沢雅子 常にピッコロさんの側にいたいのが悟飯君なんです。
――この2人が単なる師弟関係も超えるような関係になれたのは、なぜでしょうか。
古川登志夫 結果として（孫悟飯とピッコロの）師弟論みたいなものが今の社会の、上司と部下の関係、先生と生徒の関係とか、そういうものの理想形という人がいるくらいですよね。ちょっとほっておいているところもあれば、関わり続けているところもある。優しさと強面、両方描かれているところがあると思います。ピッコロの存在を裏付けしているのが悟飯であって、悟飯にとってもそうだと思いますね。普通の師弟関係以上のものがあると思います。
野沢雅子 お互いがお互いの命なんですよね。
古川登志夫 今回、悟飯も学者然とした悟飯から、戦士らしくなっています。グレートサイヤマンの時みたいになりますからね。勉強家で真面目なだけの悟飯ということじゃなくて、戦士として熟成して、師であるピッコロと同等の力を得てくるところもあります。
――久々に孫悟飯として思い切り戦えるのは気持ちいいものですか。
野沢雅子 気持ちいいですよ！やっぱり小さい時から、常に偉い学者さんになりたいというのが悟飯君ですけど、ピッコロさんのためなら、その夢は2番目になるんです。何が何でもピッコロさん。何をおいても即、行きますね。たとえば自分の父親の悟空に何があっても、お父さんならなんとかするだろうと、ピッコロさんの方に（助けに）行きます。2人同時に危なくても、悟飯君はピッコロさんのところに行っちゃいますね。
古川登志夫 悟飯の成長した姿は見どころですね。2人が共闘するところまでいって、実際に戦いが始まって、ピッコロが気付くものがあります。そこから先はネタバレですが（笑）。悟飯がピッコロを慕っているというよりは、実はピッコロの方が悟飯を好きでしょうがない、ほっとけないんでしょう。
――改めて『ドラゴンボール超 スーパーヒーロー』の見どころをお願いします。
野沢雅子 映画の時は見どころとか、ここがどうだからとか、どこがありますかって、私はいつも言うように「ゼロ」なんです。東映の三角マークから全部です（笑）。「おわり」っていう字まで、全部同じように見てほしいんです。「おわり」っていう字、大切なんですよ。ずーっと流れが来るじゃないですか。絵はここで終わっているけど、すぐに席を立っちゃうわけじゃなくて、その余韻を「おわり」の字まで持っていってほしい。欲張りだから（笑）。
古川登志夫 敵方にもおもしろいキャラがいっぱい出てきます。ガンマ1号（神谷浩史）、2号（宮野真守）についても、イケメンだし。声をあてている2人が人気声優ですから。ガンマ1号、2号の演じ分けも、非常にちゃんと分かれていて見事です。2人ともうまいこともありますが、話し合いをどれくらいしたんだろうと思うぐらいです。
野沢雅子 ゲストと絡む時は、一応「構える」じゃないんですけど、どういう風に来るかがわからないんですよね。古川さんとはもう全て一体じゃないかというくらい「絶対に来てくれる」のが、なんとなく自分の中ではわかっています。「こういう風に」って入り込んでいけるんですけど、絡んだことがない人には一応伺うところがあるんですよね。「こう来るかな」とか、「こう来た場合はこう受ける」とか。本番までに余分な気持ちがあってはいけないけど、それはもうテストの時に1回でわかりますね。
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