6月11日に待望の劇場公開を迎える映画『ドラゴンボール超 スーパーヒーロー』。シリーズとしては劇場版21作目で、原作者・鳥山明が全面的に関わり「鳥山明 渾身の、超バトルアクション誕生!」と謳うほどの力作だ。今回も主人公・孫悟空をはじめ、その息子である孫悟飯、孫悟天と1人3役をこなす野沢雅子だが、テレビシリーズで初めて孫悟飯が登場する際には「悟飯、誰がやるのかなとすっごく興味があったんです」と、直前まで自分が1人2役になることを知らなかったという。今回は、その孫悟飯が師匠・ピッコロと大活躍する。ピッコロ役・古川登志夫とともに、当時エピソードや最新作への思いを聞いた。
――今回、映画の公開が少し延期となりましたが、無事に公開が決まりました。
野沢雅子 本当にちょっと遅れちゃったっていうのも寂しいし、仕方がないことですよね。「なんでこういう時にこうなるのよ」って言うんですけど、逆に私は「あ、これが逆によかったんじゃないか」と。映画全てに対してね。いい風に向いていくような気がしています。
古川登志夫 同感ですね。雨降って地固まるじゃないですけど、よくうちの母が嫌なことがあっても、それは全ていいことに辿り着くプロセスにすぎないと考えろとよく言っていたのを思い出しました。そういう意味で、今マコさん(野沢雅子)がおっしゃったみたいに、かえってよかったという結果になるんじゃないかと思います。
――最新作は、最高の映像クオリティーという点も大々的に打ち出しています。
野沢雅子 私、アフレコで絵が入った場合は、絵に入り込んじゃうんです。自然と自分が入り込んで、自分が悟飯になっちゃいますよね。
古川登志夫 直感的なところがマコさんにはありますね。掛け声にしても、僕らは事前に用意しておかないと出なくなっちゃうんです。マコさんは直感的で、天才的です。僕はこのカットで「はあー」って言おう、このカットでは「ぐわー!」って言おうと台本に書きます。でも実はそれを見ている暇はないんですけどね。
――野沢さんは今回も孫悟空、孫悟飯、孫悟天と3役になります。演じ分けも毎回、大変だと思いますが。
野沢雅子 絵を見ると、自然に1発目に出た声で行こうと思っているんですよね。
古川登志夫 あれは見ていて、どうしてできるんだろうと思いますね。(1人で)掛け合いをやっちゃうんですから。セリフがかぶらなければ、掛け合いをやれちゃう。あれはどうしてだろうと、真似したことがありますね。悟空でしゃべってる時と、悟飯でしゃべってる時があって、「お父さん!」(ものまね風に)とか練習しましたよ。
野沢雅子 古川さんもできますよ(笑)
古川登志夫 単独でやればできるんだけど、お父さんと息子、両方同時に会話をやっちゃう。あれはちょっと普通の人にはできないです。片方だけ録って、もう一回別の役を録ってじゃないと。
野沢雅子 最初、悟飯君が出てくる時に「悟飯、誰がやるのかな」と、すっごく興味があったんですよ。それでディレクターのところに行って「悟飯誰がやるんですか」って聞いたら「台本に書いてあるでしょ」と。でも見つからないから「いや、書いてないんだけど」と言っても「書いてあるはず」って。「私の台本、こうなって書いてないんです」って言ったんですけど、よく見たら「孫悟空」「孫悟飯」と書いてあるちょうど真ん中か、ちょっと悟空寄りに、「野沢雅子」と書いてあったんですよ。私は当然、ちょっと悟空側にずれて載っていただけで、悟飯ではないと思っていたんです。だから2役はびっくりしました(笑)。
――最後に映画前作も、全世界でヒットしました。世界でこの『ドラゴンボール』シリーズが大人から子どもまで広く受け入れられている理由は、どう思われますか。
野沢雅子 子どもたちに響くのは、ヒーローじゃないですか。悟空は強いし、助ける。誰しも、そういうところは一応持っているけれど、自分の友だちがやられてても「あいつ、強そうだから助けられない…」とか、あるわけじゃないですか。でも悟空はまっしぐらに助けに行くので、それに憧れて人気が出た気がします。みんなにとってのヒーローです。ドジなんですよ、とっても。食べ物が好きで、バクバク年中食べている人で。だけど、ヒーローなんですよね。普通はヒーローにならないですよ。ピッコロさんの方がかっこいいし、よっぽどヒーローです(笑)。悟空は「んぁ?」とか言ってるじゃないですか(笑)。
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