名家の子息ばかりが通う偏差値77の名門高校・秀知院学園を舞台に、生徒会長・白銀御行と副会長・四宮かぐやの恋愛模様をコミカルに描いたラブコメディ「かぐや様は告らせたい」(以下、「かぐや様」)。原作は赤坂アカ先生が「週刊ヤングジャンプ」に連載中の同名漫画で、2022年4月からTVアニメ第3期が放送されている人気作だ。
【動画】「かぐや様は告らせたい」3期ED映像(23分30秒ごろ~)
最新のTVアニメ第3期は、キレのいいギャグやキャラクターの声を担当する声優の演技、アニメ制作スタッフ渾身のオリジナル演出などが好評。また、今回アニメ化された原作コミックスの「文化祭編」は、こじれにこじれた白銀とかぐやの恋愛が新たな段階に進んだ物語でもあり、それらがTVアニメでどう描かれるのかという点もファンの注目を集めている。
今回の記事では、そんなTVアニメ第3期の各話を締めくくるED映像に注目。制作デスクの杉本俊輔さんと、EDアニメーション絵コンテ・演出・原画担当の大野仁愛さんのお2人に、対談を通して制作上のこだわりなどといった気になる点を存分に語っていただいた。
――第3期EDの制作上、特に力を入れたこだわりのポイントはどこでしたか?
大野仁愛さん(以下、大野):分かりやすさですね。セリフを使わず90秒で物語を伝えなければいけないわけなんですが、どうやってもすべてを描ききることはできません。なので場面と場面の間で何が起こっているかは、視聴者の方に想像で補完してもらう必要があります。そしてそれをいかにこちらの意図するイメージに近い形で想像してもらえるかが肝となるので、そこがどんな場所で、何が起こっていて、キャラクターたちは何を思っているのか。これらがイメージ通り伝わるように努力しました。
あとは地に足の着いた世界観にすることです。細部で手を抜くと一気に安っぽく嘘っぽい画面になってしまうので、登場するプロップ・衣装・クリーチャー・乗り物・情景のすべてを、別のSF作品に登場しても通用しうるレベルを目指してデザインしていました。
杉本俊輔さん(以下、杉本):制作としては、全部で約65カット、枚数が約2000枚程度かかりました。普通のテレビアニメは300カット、5000枚くらいで作られることが多いので、いかにこの90秒のEDの密度が濃かったのかが分かるかと思います。
限られた時間の中で、この物量の動画や仕上げといった作業を丁寧に、そして迅速に作業していただける作業者さんを見つけるのに苦心しました。ほとんどの作業者さんにあまり作業時間を確保できなかったのですが、多くの方がその少ない時間の中で綺麗に仕上げてくださり嬉しかったですね。またスタッフの多くが第1期EDからの続投なんですが、新規参加のスタッフの皆さんも素晴らしい方々ばかりでした。
特に作画監督を務められた久貝典史さんには頭が上がりません。最後1週間くらいは泊まり込んでいたんじゃないかな?
大野:久貝の兄貴には本当に頭が上がらんですね。いや、参加してくださったスタッフ全員に対してもそうなんですが……。久貝さんには作業面でも精神面でも本当にたくさん支えていただきました。兄貴の描く絵は本当に魅力的で、個人的に「中盤の振り向くハーサカ」「白銀が天使かぐやを抱き寄せるときの表情」「ラストのかぐやの微笑み」はお気に入りです。
――1週間泊まり込みとは、本当にすごい労作だったんですね。では最後に、読者に向けてTVアニメ「かぐや様」第3期のアピールをお願いいたします。
杉本:白銀とかぐやの2人ともが、なんだかいよいよ告るのか? みたいな空気感を出しておりますが、果たして本当に告るのか? それとも告らないのか? 告らせるのか? を最終回まで暖かい気持ちで見守ってあげて欲しいです。
大野:原作ファンの方々は、今回のEDで何を表現しているかお気付きの方もいらっしゃるかと思います。アニメから入ってくださった皆様にもこれから先、話数が進むにつれてこのEDが何を表現しているのかが見えてくると思います。最終回を迎えたあとではきっと今とまったく違った映像に感じると思いますので、そのときはぜひ第1期と第3期のEDを続けて観返してみてください。
EDアニメーションとしては異例のカット数・作画枚数に上るなど、第3期ED映像は細部に至るまで丁寧に作られていることを語っていただいた。これほどの労作を、TVアニメ「かぐや様」第3期視聴時に飛ばしてしまうのは非常にもったいない話というもの。最新エピソード視聴時にはぜひEDアニメーションも集中してご覧になってはいかがだろうか?
(C)赤坂アカ/集英社・かぐや様は告らせたい製作委員会