欧州の刺客と若き最強ムエタイ戦士の対決は、鮮やかに突き刺すワンツーで終演。ダウンを喫した敗者が一瞬にして“生まれたての子鹿”状態に陥る衝撃KOに戦慄が走った。
6月2日にシンガポールで開催されたONE Championship「ONE 158:TAWANCHAI VS. LARSEN」でタワンチャイ・PK・センチャイ(タイ)とニコラス・ラーセン(デンマーク)が対戦。2ラウンド、タワンチャイがボディへのミドルキックで引きつけて、最後は右フック、左ストレートと芸術的なワンツーで完勝を収めてみせた。
ムエタイ125勝の実績を引っ提げてONEに参戦したタワンチャイは23歳のトップ選手。前回は強豪セーマペッチを瞬打でKOするなど、アグレッシブさが求められるONEのリングで下馬評どおりの強さを示した。今回は欧州の新たな刺客ラーセンが対戦相手。タイの名のあるムエタイ選手が欧州勢に苦戦する光景が散見されるだけに、勝敗の行方が注目を集めた。
1ラウンド、ゴングとともにアグレッシブに前蹴り、ローと攻め立てるラーセンだが、パンチをいとも簡単にタワンチャイに避けられると、右フック〜左ストレートとコンパクトにまとめられ開始40秒で早々にダウンを喫する。落ち着き払ったタワンチャイの強さに試合を中継したABEMAの視聴者からは「ラーセン早々に洗礼を受けたな」「見切ってる感が半端ない」と驚きの声も。その後も強い気持ちを持って前に出るラーセンだが、出足をくじくインローへ鋭い蹴り、ガードの隙間を通すようなパンチなど、タワンチャイの圧倒的な技術に翻弄される。ラウンド後半にもケージ側でストレートを被弾したラーセンは、フラフラになりながらもこのラウンドを凌いだ。
決着の2ラウンド、タワンチャイがラーセンのボディ目掛けて執拗に左ミドルを蹴り続けると、目に見えてダメージが蓄積されていく。そして、ボディへのミドルのイメージを刷り込まれたラーセンがややガードを下げた次の瞬間、踏み込みに合わせて右フック、左ストレートと芸術的な連打が炸裂。
これをまともに被弾したラーセンは吹き飛ばされるように崩れ落ちた。ダメージはそれほどないように見えたが、いざ、立ち上がろうとすると体にまったく力が入らない様子。まるで“生まれたての子鹿状態”で壮絶エンドを迎えた。
余りにも穴のないタワンチャイの強さに「桁違いの強さだ」「きれいな勝ち方」といった驚きと称賛の声が。満を持してONEに乗り込んで来たラーセンだが、目の前に立ちはだかった大きな壁に為す術なく完敗。タワンチャイ と苦笑いを浮かべながら握手を交わす姿が印象的だった。そして、誰もが納得のKO劇を受け、タワンチャイはファイト・ボーナスの5万ドル(約654万円)を手にした。