お茶の水女子大学大学院の森裕子さん。彼女が発表したある調査結果がネットをザワつかせている。
「近年関心が集まっている『マウンティング』という現象に注目して。マウンティングの実態を把握するために、最初はドラマや書籍からマウンティングのエピソードを抜きだし分類するということをやっていました」
彼女が行ったのは「マウンティングの分類」。マウンティングとは、自分が相手より優位に立とうとするため、行われる行為のことで、近年話題を集めている。
森さんは、過去に公開されていた書籍やドラマから“マウンティング”に該当するエピソードを抜き出し分類。すると、マウンティングには、3つのカテゴリーが存在するということを明らかにしたのだ。
「1つは家事や育児など、家庭の役割に関連したもの。もう一つは仕事や学歴など、社会の役割に関連したものです。最後は美しさとかファッションセンスなど性的な魅力に関連したものの」
マウンティングにも、パターンは様々。例えば、家事や育児に関連したものの場合、既婚者が結婚したいのにできない友人に対し、「いいんじゃない、独身の星って感じで」と、結婚を済ませた、あたかも上のステージから見下しているようにもとれる発言。
こんな経験にモヤモヤを抱えた人もいるのではないだろうか。また森さんも、過去受けたマウンティングを明かした。
「いつもメイクちゃんとしてるよねと言われたときに、ほめてくれてるのかなと思う部分もあったんですが、メイク濃いということかなとか、派手なメイクだと言いたいのかなとか、勘ぐってしまうようなことも」
そして森さんは、これらの調査結果から女性でマウンティングが多く見られる理由を分析。その結果、女性同士のマウンティングの3つのカテゴリーは、ゲームで言えば「じゃんけん」のように膠着した三すくみの状態になっているという。
例えば“経済的な自立”では負けているが、”結婚による安定”では勝っているなど、どれか一つでは負けてるものの、違う分野では相手に勝っているということが、男性と比べ、女性の方で起きやすいため、マウンティングが繰り返される「ループ」に陥りやすいというのだ。
「どちらが上か下かを決定するのがかなり難しいので、女性たちの間でマウンティングが繰り返されてしまうのではないかと今は考えています。『この場面では相手に負けてしまうけど、この場面では勝ててしまう』ということがあるので、何回も同じようなことが繰り返されてしまうかなと」
時として、心身を蝕むこともあるマウンティング。森さんは、マウンティング研究には意義があり、今後も研究を続けていきたいと語る。
「マウンティングによるダメージに適切に対処したり、自分を癒してあげられるような方法を見つけられると、より日々の生活をすこやかに送れると思うので、もっと研究して日常的な小さなモヤモヤというところであるマウンティングというのを解消できたりとか、それによるダメージを回復したり、癒やしたりできるようになると良いなという風に思っています」
(『ABEMAヒルズ』より)