一橋大学(東京・国立市)で今年1月、外国人留学生向け入学試験中に問題がSNSを通じて流出した事件で、警視庁は偽計業務妨害の疑いで王嘉璐容疑者(22)容疑者と、その家庭教師をしていた李歳寒容疑者(28)の2人の中国人の男を逮捕した。
警視庁クラブのテレビ朝日・尾崎圭朗記者によると、不正が発覚したのには“偶然の重なり”があったようだ。
「犯行は王容疑者が李容疑者に持ちかけたもので、試験中に問題の内容を送信。さらにそのデータを教え子に転送し、解いてもらうはずだった。
ところが李容疑者からデータ受け取った教え子が一橋大学の入試問題であることを知らないまま、『WeChat』(微信)の『モーメンツ』(朋友圏)に「問題を解いてくれる人を探している」という内容の書き込みを行ってしまった。
これを見たユーザーの中に、試験当日、体調不良で試験を受けられなかった中国人男性がいた。男性が協力するふりをして教え子とWeChat上でやり取りをしていると、本物の入試問題と思われるデータが送信されてきたため大学側に通報した」。
「文部科学省としても、今年1月にも共通テストで起きた、当時19歳の女子受験生と手助けをしていたとされるシステムエンジニアの男性が書類送検された事件を受けて不正防止対策の強化に努めていた。
しかもWeChatの投稿を見つけた男性が大学側に不正の可能性を指摘したのは数学の試験前。大学側も会場の巡回・監視を強化し、不正行為のないようアナウンスをしていた。それでも想像し難い手口だったということもあり、試験終了後までスマートフォンに繋いだコードを首に巻いて話をしていたとみられる李容疑者の不審な動きには気付けなかった。
イヤホンも1センチほどしかなく、ある捜査員は“耳に入れたら取れなくなってしまうのではないかと思った”と話すくらいの小ささだ。撮影方法については捜査中だが、李容疑者は“数学よりも前の時間帯に行われた科目(日本語と総合科目)の試験中に問題を撮影した動画を受け取り、解答を教えた”などと供述していて、何らかの方法で動画を撮影していたとみられている」。
結果、王容疑者は一橋大学に合格、入学を果たしていた。
「王容疑者から話を持ちかけられ、最終的に不正行為に加担してしまった李容疑者だが、授業を休むこともあった王容疑者の実力をよく知っていて、“一橋大学に受かる実力はないと思っていた”などと説明しているという。警視庁では2人がいつ頃から、どのくらい入念に犯行の計画を立てていたかなどは捜査中だ。大学側も、今後についてはこれから判断する模様だ」。(ABEMA NEWS)