世界中で叫ばれる気候危機。国連のグテーレス事務総長は「簡単に言えば地球は壊れている。人間は自然に対して戦争を仕掛けている。これは自殺行為だ。自然は常に反撃してくる」と述べている。
【映像】電気自動車は本当にエコなのか? ひろゆき氏「電池も10年経ったら使えない」(画像あり)※27:25ごろ
気候危機の要因とされているのが、地球温暖化だ。二酸化炭素など大量の温室効果ガスが地球を覆った結果、18世紀半ばの産業革命前と比べ、世界の平均気温は約1℃上昇。このままだと気温はさらに上がり続け、さまざまな悪影響が起こると予想されている。
そこで今、世界中の国々が取り組んでいるのが“脱炭素”だ。炭素社会の実現は、政府や企業は市民も巻き込んでの世界的ムーブメントになっているが、実はそんな取り組みに疑問を投げかける人物がいる。
『「脱炭素」は嘘だらけ』(産経新聞出版)の著者でキヤノングローバル戦略研究所の杉山大志氏は、地球温暖化の象徴として扱われるさまざまな現象に「フェイクが潜んでいる」と指摘する。
「災害が激甚化したとか言うわけだ。台風とか大雨とか。統計のデータを見てみると、台風は激甚化なんて全く見えないし、北極の白クマは減る、減ると言われていたけど実際は増えていたりして。統計を確認しないで報道しているという意味では、それはフェイクだと言われてもしょうがない」
気候変動問題の第一人者である杉山氏。「日本全体でCO2ゼロにすることは実際不可能だと思う」と断言する。
「2050年にCO2ゼロだと、あと28年。それを目指すだけでも日本の製造業とかは多分ボロボロになって、経済もボロボロになってしまって、結局は国民に降りかかってくる。そういう意味の自分事として考えないといけない」
実は杉山氏だけでなく、地球温暖化の大元になる世界的学術機関のデータには、多くの研究者から捏造を指摘する声が寄せられている。
脱炭素は地球のために本当に必要なのか、それとも欺瞞なのか。ニュース番組「ABEMA Prime」では、地球温暖化について議論を行った。
IPCC(気候変動に関する政府間パネル)のメンバーで、報告書の執筆などを担当した杉山氏は「よく言われるが台風一個一個の映像を見ても温暖化との関係なんて分からない。風速33m以上の台風は、ずっと過去50年くらい10個と15個の間くらいで変わっていない。もし台風が激甚化していると言うなら、グラフは右肩にずっと上がっていなければいけないが全然そんなことになっていない。真横なわけだ。台風がそもそも激甚化していない」と話す。
「もっと言うと、食糧供給が温暖化のせいでダメになる、米が暑くてとれなくなるという話があるが、世界の食糧の生産量が温暖化のせいで激減しているかと言われると全然そんなことはない。トウモロコシ、米、小麦、大豆が一番大事な4つの穀物だが、全部生産量がドンドン増えている。これが減りだしている兆しが一切見えない」
ここで、テレビ朝日の平石直之アナウンサーが「杉山さんは“台風が”という主語でおっしゃった。気象庁の気象研究所が5月20日に出したデータをみると、集中豪雨の発生頻度がこの45年間で増加しているとある。年間の集中豪雨発生頻度はおよそ2.2倍だ。月別でみると7月の発生頻度は、およそ3.8倍になっている。短時間での大雨の降り方が強まっている傾向がある。それによって排水処理が間に合わなかったりして、大きな被害が出ている。これはどう見ているか」と投げかけ。
杉山氏は「これは出たばかりだ。私は論文を読んでいないからちょっとはっきりは言えない」と回答。
「ただこの紙を見た限りでもそうだが、地球温暖化のせいだとは書いていない。大雨で降水量が増えることはあり得る。1℃気温が上昇すれば、降水量が6~7%増える可能性は理論的にはあり得る。だけど、それ以上に自然変動が大きい。このデータで言われている大きな変化は、その大半はおそらく自然変動のことであって、地球温暖化によるものがあるとしても一部だ。地球温暖化によって雨が増えるというのは、1℃で6~7%だから、要は江戸時代に100ミリだった雨が106ミリか107ミリになっているかもしれないという、そのぐらいだ」
ひろゆき氏は「日本は平均気温自体は上がっていると言われていて、それで降雨量も増えるというので、気温が上がったら降雨量が増えるのは当然だと思う」とコメント。その上で「『CO2のせいか分からないよね』という段階だが、なぜIPCCパネルはそれが『人為的なものだ』という断言をし始めたのか」と疑問を浮かべる。
「要は気温が上がっている地域がある、降雨量も上がっている地域もある。気候が変動していることは確かだ。ただ、それが人為的な二酸化炭素の排出によるものなのか、証明はものすごく難しいだろう。でも、IPCCの報告書では『人為的なものだ』という断言をしてしまっている。科学的なデータを基にしているというより、むしろ政治的に人間の手によるものと言いたいというモチベーションが先にきている気がする」
ひろゆき氏の指摘に杉山氏は「CO2が地球を温める効果があるのは本当だ。CO2を出したら温暖化が起きる。これははっきり言っている。だけど、温暖化が起きている理由はCO2だけかというと、実はそこまでは言っていない。気候のモデル、シミュレーションはCO2がほとんど決めて、温暖化になる。そういうモデルになっている。異論もあって、太陽活動の変化や、地球温暖化と関係ない自然変動でも気温は変わる。そういう議論はもちろんある」と答える。
ひろゆき氏は「メタンガスとかで気温が変わることもある。二酸化炭素も人間が出しているものなのか、自然現象のものなのか、断定は難しいだろう。そんな断定が難しいところに科学者が集まって『これは人為的なものだ』と決めつけているのは、ちょっとおかしいと思う。『分からない』だったらまだ分かる」と見解を述べた。
杉山氏は「人為的な影響が全くないわけではない」とした上で「IPCC自体はCO2が増えたときに気温がどれくらい上昇するかは不確実だということは、実ははっきり言っている。だから世の中で報道されているほど、偏っているわけではない」と答える。
ここで、平石アナウンサーが「なぜ杉山さんの考えは取り入れられずに反対側の意見が通って発信されているのか」と質問。杉山氏は「まずIPCCといっても縦割りで、私の担当は技術開発のところだ。IPCCはものすごく人数が多い。全部で1000人以上いる。だから私はその中のone of themに過ぎない」と答えた。
ひろゆき氏は「二酸化炭素を少なくした方が地球のためだというきれいごとを言いたがる人たちがいるが、僕はそういう問題ではないと思っている」とコメント。その上で「ヨーロッパは排出権という市場があって、二酸化炭素を少なく作った製品しか買わないというのをやろうとしている。二酸化炭素の排出量が多い国で作った自動車に関しては関税をかけるとか。だからヨーロッパの市場で日本が物を売りたいんだったら、CO2問題に関わるしかない。ある種の“入場料”としてやらないといけないことで、地球を守るとか、きれいごとの話ではないと思う。そこを誤解している人が多いのでは」と指摘。
「日本は、ヨーロッパの決められたルールに従って、ある程度対応して、市場に物を売る。中国とアメリカには『お前らもなんとかしろ』とけん制し続けるだけでいい。日本がCO2ゼロを目指すとか、誰の得にもならない。日本人だけが損するのを目指すのはどうかなと思う」
(「ABEMA Prime」より)
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