YouTube「僕の家に2人の男性が訪ねてきた。その男性とは税務署の人。マンションを買えるくらいの請求が来た」
お笑いトリオ・インスタントジョンソンのじゃいさんが税務署から請求されたのは、競馬の払戻金に対する追徴課税。YouTubeで告白したことによって大きな反響を呼んだその詳細について、じゃいさんに直接話を聞いた。
「7年前までは一時所得で申告していたが、周りから『じゃいさんは競馬の仕事もしているし、本も出版しているし、スポーツ新聞で予想もしている。雑所得でいけるんじゃないか』という声があり、そこから雑所得で申告していた。雑所得になると、要は勝ったお金から使ったお金を引いた額（純利益）に対しての税金になるが、一時所得になると使った外れ競馬券は計算されない。極端な話、1億円を使って1億5000万円勝った場合は、本来5000万円にかかるはずが（一時所得では）ざっくり計算すると1億5000万円に税金がかかってしまい、実質ほぼ勝ちがなくなる。いまのところの税制では、それが一時所得という感じ。結局、雑所得か一時所得かの判断は税務署側も難しかったらしく、数カ月かかった。税務署では判断しきれず、国税局のほうに判断を委ねたということだった。そこら辺の判断は難しい。法律ではなく通達らしいが、結果的に国が一時所得と判断した」
――その結果、課税の紙が来たときの心境はいかがでしたか。
「そこそこ覚悟はしていたので、“一時所得になった場合はこれぐらい（の金額）だろう”という計算はできていた。もちろん裁判をしようとは思ったが、『最低でも6年かかる』と言われた。相手は国だからそれなりに優秀な弁護士が必要なので、『弁護士費用が数千万円はかかる』と言われた。万が一、負けた場合は倍くらい払うことになりかねない。そうなるとさすがに家族にも迷惑をかけるのでやめた」
結局、じゃいさんは子どもたちの将来のために貯めていたお金や、親が老後のためにとっておいたお金を借りる形で税金を支払うことになった。しかし、今回の税務署の判断や税額については「何の不服もない」と話す。ただ、馬券売り上げの約10％が国庫納付金となっている現状については「実質的な二重課税だ」と疑問を呈し、制度の改善を訴えていきたいとしている。
「昔から言われていたことだが、競馬ファンを盛り上げるために、JRAを盛り上げるために、なんなら国を盛り上げるために法律を変えたほうが得なんじゃないかなと思う。これを機にその提案をできたらなという方が大きい。理想を言えば、今の状態で無税にすれば売り上げは上がるし、結果的に国が得するんじゃないかという思いはある。競馬だけではなく他との兼ね合いなどもあるのでそう簡単に無税にはできないと思うが、なるべく競馬ファンが納得するような法律に変えてほしいと思っている。正直、今回の件でJRAさんやNAR（地方競馬全国協会）さんには大変迷惑をかけたので、YouTubeでは『もう馬券は買えない』と言ったが、馬券を買っていきたいと思っている。僕はあくまでも競馬界を盛り上げるために競馬をしている。ファンの皆様にお力添えいただけたらなと思うし、皆さんと一緒に競馬界を盛り上げていけたらなと思っているのでよろしくお願いいたします」
このニュースについて、「やさしいお金の専門家」の横川楓氏に話を聞いた。
――競馬が二重課税と言われる理由を教えてください。
「馬券を購入する際に、まず国庫納付金という形で国に支払うお金があり、予想が的中して利益が出た場合も一時所得として税金がかけられるというところで“二重課税”と言われる」
――雑所得と一時所得の違いは何ですか？
「一時所得は継続的な収入ではない。懸賞や福引、競馬の儲けなどにかけられるもので、経費にできる範囲が狭い。一方で、雑所得は一時所得などさまざまな所得に該当しないものを指す。副業の所得なども一般的に雑所得とされるが、必要経費にできる。2つともかなり違う仕組みになっている」
（『ABEMAヒルズ』より）
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